研究概要 |
琉球列島石垣島を温暖化応答のモデルサンゴ礁として,温暖化,酸性化,海面上昇に対するサンゴ群集とサンゴ礁の応答について研究を進めた,温暖化について,白保に設置した永久測線・方形枠の継続調査を行い,水温上昇イベントに対して,サンゴの種・属によって白化耐性や回復に差が見られることが明らかになった.こうした応答の差異に関係している可能性があるサンゴ体内の共生藻クレードについて,本海域で4つのサブクレードが見られることを特定した.酸性化について,夜間にサンゴ礁の石灰質堆積物の溶解が起こっていることが示された.溶解は,大気CO_2濃度上昇に対するバッファーとして働く可能性がある.また硫黄鳥島において,酸性化した海域でサンゴ群集が石灰質骨格をもたないソフトコーラルにシフトしていることを発見した.海面上昇について,過去の海面上昇に対応してサンゴ群集の変遷がどのようにサンゴ礁地形の形成に関わっているのかを,コア試料の採取と解析から検討した.その結果,堅牢なテーブル状のミドリイシ属だけがサンゴ礁地形の形成に寄与することが明らかになった.また,群集変化や地形形成にとって,台風による物理的破壊と礫などの堆積が重要な役割を果たしていることも明らかになった.
|