研究概要 |
本研究課題の目的は,温暖化,酸性化,海面上昇という,地球温暖化シナリオの各要因に対するサンゴ礁の応答を,生態系・群集スケールで検出・評価して,地球温暖化に対するサンゴ礁の応答を予測することである. 1)温暖化:石垣島白保サンゴ礁において,1998年以降現在まで14年間の群集変化を調査し,サンゴ被度が10分の1,種数が3分の1に減少して,海草,海藻,ソフトコーラルが増加したことを明らかにした.被度減少の原因として,高温による白化とともに,台風,富栄養化の複合ストレスが考えられる. 2)酸性化:酸性化によって,ソフトコーラルが卓越すること,マグネシウムに富んだ石灰質堆積物が溶解することを,フィールドと実験によって明らかにした.酸性化の影響は,サンゴの種や生物種によって様々である. 3)海面上昇:サンゴ礁地形が形成される造礁期に,造礁停止期がはさまれる,停止期には生物侵食やセメンテーションが起こることが明らかになった.ミドリイシ類を中心とする9種ほどのサンゴが,海面上昇に追いついて地形を作る鍵種であることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィールドと実験の両面から,地球温暖化の各要因に対するサンゴ礁の応答を,群集スケールで明らかにすることに成功した.とくにサンゴや生物種による応答の差異が,本研究課題によって明らかになった.白保における長期群集調査の結果は,社会的にも大きな反響をもたらした.
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今後の研究の推進方策 |
各要因に対する応答の結果をまとめて,温暖化・酸性化・海面上昇の複合するストレスに対するサンゴ礁の応答予測を行う.さらに,群集変化の結果をB01,B02班で得られた陸域負荷の増加と比較したり,C02班のモデルの評価に使用したり,フィールドにおいて明らかになった群集のストレス応答を,A01,A02班の実験室の結果と比較するなど,他班の成果と比較,連携して,領域全体の成果に寄与することを目指す,
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