研究概要 |
1)石垣島東海岸ならびに石西礁湖内の黒島において,昨年度に引き続いて,サンゴ礁への地下水経由淡水・栄養塩負荷について,ラドンと栄養塩,塩分等の連続計測に基づく評価を行った.また外洋→サンゴ礁域への水温,炭酸系,懸濁態・溶存態有機物(炭素・窒素・リン),栄養塩等水質特性の変化過程に関する現地調査を,石垣島東海岸のサンゴ礁海域周辺を対象に行った.2)サンゴ礁生態系における物質循環・炭酸系動態解明のための現地調査として,石垣島東海岸のうち,陸源負荷レベルが異なる轟川河口北側と南側のサンゴ礁海域に関して,水温・塩分,水位・流速,濁度,Chl.a,光量子,DO等の多点連続計測を実施するとともに,サンゴ群集と藻場の基礎代謝と物質循環に関する基礎データを得るための24時間観測および停留期観測を実施し,懸濁態・溶存態有機物(炭素・窒素・リン)やそれらの安定同位体比等の時空間変動の評価を行った.また,炭酸系計測によるサンゴ礁の生産量評価技術を改良・精緻化することを目的とした炭酸系炭素安定同位体比変化モニタリングを企画し,その基礎データを得た.さらに,降雨による海面への栄養塩の直接供給を見積もるため降雨試料の栄養塩濃度分析を行い,降雨中の窒素栄養塩濃度が冬季に特に高い傾向があることを示した.3)サンゴ礁生態系へのストレス評価ならびに物質循環・炭酸系モデル開発に関して,現地データを良好に再現するサンゴ礁内赤土輸送モデル,炭酸系動態モデルの開発に成功した.さらに,サンゴ礁内物質循環モデルの基本形を開発した.4)サンゴ礁生態系応答モデル開発に関して,短期応答モデルと長期応答モデルに分けて開発する方針とし,特に前者に関して必要となる複合ストレス下でのサンゴ応答に関する素過程の評価方法についてA01, A02, C01の計画研究担当者らとの議論等を通じて,基本的なモデル骨格について検討した.
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