研究概要 |
(1)陸域からの表層土壌・過剰栄養塩流入等のローカルなストレス要因の負荷構造や,外洋での水温・CO_2上昇,酸性化等のグローバルストレス要因のサンゴ礁生態系への生化学・熱的プロセスを介しての波及過程を解明することによって,それらの統合評価・予測システムを開発する. (2)サンゴ礁生態系の維持・変遷過程を定量的に評価する上で不可欠となる物質循環・炭酸系動態の解明を行い,それに基づいて,極浅海域複雑地形としてのサンゴ礁における流動構造を高精度評価可能な流動モデル(開発済み)をベースとしたサンゴ礁物質循環・炭酸系動態モデルを構築する. (3)上記(2)のモデルをベースとしてA01,A02,C01による複合ストレス下におけるサンゴの生物的・化学的応答素過程に関する知見を組み込むとともに,サンゴ以外の基本的な海底被覆要素である藻場,干潟といった要素も含んだ形で,サンゴ礁内の物理・化学・生物的連成過程を統合することにより,生態系全体としての応答過程を定量評価可能なモデルの開発を行う. (4)ローカルな土地利用形態やグローバルな温暖化ガス排出等に関する様々な将来シナリオのもとで,(1)に基づく複合ストレスの統合予測を行い,そのもとで(3)による生態系応答モデル評価を行うことでサンゴ礁生態系が維持可能なストレスレベルの同定を行い,ストレス制御のための科学的指針を提供する.
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