本研究は心脳限界の認識と突破に関する科学哲学・倫理学である。領域に特有の倫理的・法的・社会的課題を人文学的に掘り下げ、限界認識・突破の概念を彫琢した。限界概念の記述的研究の成果として、限界の経験を有する群、限界を見据えて努力することをやめた経験を有する群、それらふたつを有さない群の3群は均等に分かれることがわかった。倫理研究としてはエンハンスメントと人間性、社会性について国民意識調査の結果を取りまとめ、論文化を行った。エンハンスメントに関する欲求については、限界経験、および社会経済的格差が影響している。また、エンハンスメントの欲求は他者の行動に影響されることがわかった。
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