計画研究
大きな構造変化を伴う朽ちゆく高分子材料の分解挙動は、モデル化が困難であり、その学理解明は未だなされていない。本研究では、「朽ちゆく材料」の劣化・分解を調査するため に、適切な「複雑さ」と「時間スケール」を持つ動的高分子希薄系をモデルとして用いた実験を行う。 動的高分子希薄系は、その名の通り、時間により構造変化する希薄な高分子系で あり、粘弾性液体、粘弾性塑性体とその混合物を含む。研究領域内の他の研究で得た知見を取り込むことや、本研究で得たモデルを他の研究に適応することで学術を深化させ、より精緻なモデルを構築することを目指す。本年度は、外界への分解モデルとして、モデル粘弾性液体の粘弾性とそのダイナミクス、および体内動態について精密調査した。 具体的には、結合性を系統的に制御し粘弾性緩和との相関を調査し、応力を支持する鎖 (応力鎖) の構造寿命が粘弾性緩和を決定していることを明らかにした。また、蛍光プローブ修飾したモデル粘弾性液体を合成し、蛍光褪色後回復法から自己拡散係数を評価した。その結果として、自己拡散k時間と粘弾性緩和時間との間には乖離が存在し、結合性の低下によって顕在化することを明らかにした。このことから、実際の外界への分解時には、ネットワークのみならず、ミセルのようなネットワークに連結していない成分の拡散が律速になりうることを示した。マウスの皮下に分子量の異なるPEGを注入し、体内動態を精査した。その結果として、分子量20000を超えると、極端に代謝が遅れ、肝臓などへの蓄積が見られることが明らかとなった。結晶のモデルとして、自発的な相分離を形成するモデル粘弾性液体を用いた。4分岐ポリエチレングルコールの濃度や分岐数のみならず、結合性を変数とした相図を作成し、浸透圧駆動ではないダイナミクスの不均質性が相分離を誘起していることを明らかにした。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 1件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 6件、 招待講演 13件)
Soft Matter
巻: 19 ページ: 1653~1663
10.1039/D2SM01036D
巻: 19 ページ: 147~152
10.1039/D2SM00784C
Macromolecules
巻: 56 ページ: 2217~2223
10.1021/acs.macromol.3c00047
Gels
巻: 8 ページ: 830~830
10.3390/gels8120830
Frontiers in Soft Matter
巻: 2 ページ: -
10.3389/frsfm.2022.1059156
Experimental Eye Research
巻: 223 ページ: 109206~109206
10.1016/j.exer.2022.109206
ACS Applied Materials & Interfaces
巻: 14 ページ: 35444~35453
10.1021/acsami.2c09906
巻: 18 ページ: 5966~5978
10.1039/D2SM00594H
巻: 18 ページ: 4715~4724
10.1039/D2SM00488G
ACS Macro Letters
巻: 11 ページ: 753~759
10.1021/acsmacrolett.2c00152
Polymer
巻: 250 ページ: 124894~124894
10.1016/j.polymer.2022.124894
Science Advances
巻: 8 ページ: -
10.1126/sciadv.abk0010
Annals of Vascular Surgery
巻: 84 ページ: 398~404
10.1016/j.avsg.2022.01.016
Advanced Materials
巻: 34 ページ: 2108818~2108818
10.1002/adma.202108818