研究領域 | 微気象制御学:微気象の調和的予測と能動的観測の融合による自律制御型社会基盤の創成 |
研究課題/領域番号 |
20H05753
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
平田 晃正 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00335374)
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研究分担者 |
小寺 紗千子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (40874219)
ゴメスタメス ホセデビツト 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60772902)
Essam Rashed 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (60837590)
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研究期間 (年度) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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キーワード | 熱中症リスク / 温熱応答 / 大規模計算 / 深部温度 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
前年度から継続して、人体の組織構成を考慮した詳細な人体モデルを用い、暑熱環境に対する人の温熱応答に関する大規模から、予測データを取得する。具体的には、1mmの空間分解能を有する人体モデルに対して複合物理解析を実施、太陽光についてはマクスウェル方程式を、熱計算には熱拡散方程式を時間領域差分法により離散化し、スーパーコンピュータ上で分析した。ボランティア実験より得られたデータと、解析の対比より、深部温度の時間変化のばらつきについて検討を行った。 また、複数の機械学習モデルを活用して、大規模計算で得られた必要パラメータ群からなる縮約モデルの構築に向けた検討した。縮約モデルとしては、機械学習を活用した統計縮約モデルおよび伝熱蓄熱過程を考慮した物理縮約モデルの2種類を想定し、モデル化を行った。ここで、深部体温の一度の上昇が熱中症リスクの目安と考えられる。このことから、詳細な熱中症リスク評価のためには 深部体温を 0.1 度の精度で推定することを目指した。前年度では典型的な気象データに基づいた検討であったが、今年度では微気象の時空間データに拡張し、現実に即した人体温熱モデル計算を多数実行することにより、教師データを生成した。長・短期記憶、回帰型ニューラルネットワークを用いた低次元・人体温熱応答予測モデルを構築することにより、汎用 PC でミリ秒オーダーでの予測を行えることを確認、時間軸上ではやや時間遅れがみられるなどの課題が残るものの、有用性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
深部温度の時間変化の実験と解析の対比より有効性を確認できたため。また、機械学習(回帰型ニューラルネットワーク)を活用して、大規模計算で得られた必要パラメータ群からなる縮約モデルの構築に向けた検討、目安とした深部体温を 0.1 度の精度で推定できることが確認でき、当初の目的をおおむね達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
詳細な熱中症リスク評価のためには深部体温を0.1度の精度で推定することを目指し、おおむねその結果を達成している。一方、複数の機械学習モデルが存在し、現実的な適用性については検討が十分ではない。微気象の時空間データを用いて、現実に即した人体温熱モデル計算を多数実行し、教師データを取得する予定である。また、微気象予測情報と連携したリアルタイム情報提供システムの概念設計を行う。調和的予測班と能動的予測班が開発する微気象予測システムとこれまで開発した縮約モデルを連携した、各歩行者と群衆の熱中症リスクを同時に最小化するリアルタイム情報提供システムの概念実証を行っていく予定である。
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