計画研究
霊長類の発生は未だ良く分かっておらず、今後それを調べるための基盤が整備され、その分野が発展していくことが大きく期待されている。遺伝子改変技術は霊長類の発生を理解するために必要不可欠である。霊長類においては遺伝子改変胚・個体の作製は受精卵における遺伝子改変により行われるが、目的の改変を持った細胞を選抜可能な細胞ベースの遺伝子改変個体作製法があれば、全身に目的の改変を持った胚・個体を確実に低コストで産生できるようになる。本研究ではiPS細胞から始原生殖様細胞(PGCLC)を誘導する経路に着目し、遺伝子改変マーモセット作製を目指す。2020年度はマーモセットiPS細胞から作製したPGCLCの遺伝子発現解析を実施した。PGCLCがマーモセット生体内のPGCやヒトのPGCLCに非常に類似した遺伝子発現パターンを示すことを確認した。また、遺伝子発現データを使用して、PGCから次のステップのGonocyte/Oogoniaに発生を押し進めるのに働くと思われるマスター転写因子候補を2種類同定した。それらの遺伝子を過剰発現させてPGCLCの発生を進めるために、クローニングを行った。さらに、マーモセットPGCLCを精巣に自家移植を行うために、マーモセット新生児4匹からiPS細胞を樹立した。そのiPS細胞にCAG-EGFPを導入してラベルすることで移植後にそれらの細胞を追跡できるようにした。さらに PGCLCを誘導後に純化できようにするためにSox17 locusにレポーター遺伝子をノックインした。次年度以降、自家移植実験を継続的に行っていくためにマーモセットを購入して掛け合わせを開始した。
2: おおむね順調に進展している
予定通り遺伝子発現解析を進めることができた。自家移植実験に関しては実施までには至らなかったものの次年度早々に実施できる準備を整えた。
精巣への自家移植実験を進めて行く。また、マウスの生殖巣との再構成精巣作製や、免疫不全マウスも活用してPGCLCの分化を推し進める。PGCLCからGonocyte、そして精子幹細胞や精子への分化を早期に実現させる。
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Methods in Molecular Biology
巻: 27 March 2021 on line ページ: 1-12
10.1007/7651_2021_373