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2021 年度 実績報告書

病原性原虫のPLAMP生成機構とセルオートノマス免疫系によるその認識機構の解明

計画研究

研究領域細胞内寄生性病原体の自己・非自己の境界を決めるPLAMPの創成
研究課題/領域番号 20H05771
研究機関大阪大学

研究代表者

山本 雅裕  大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00444521)

研究期間 (年度) 2020-10-02 – 2023-03-31
キーワードPLAMP / トキソプラズマ
研究実績の概要

高病原性トキソプラズマ原虫は、PLAMPを検出する宿主免疫分子であるインターフェロン(IFN)誘導性GTPaseが寄生胞に動員されないことが高病原性の理由の一つであるが、先に米国のグループにより同定された遺伝子群の中にインターフェロン誘導性GTPaseの動員の阻害に関係するものがあるのではないかと考えていた。そこで、ゲノム編集法により候補遺伝子群を一つ一つ作製し、インターフェロン誘導性GTPaseの寄生胞膜への動員を検討した結果、IWS1欠損トキソプラズマ原虫ではインターフェロン誘導性GTPaseの寄生胞膜への動員が高い割合で認められ、さらにIWS1欠損トキソプラズマ原虫では病原性が大幅に低下することを見出した。IWS1が酵母から高等動物・植物まで広く保存されている転写調節因子であることから、IWS1は何らかの病原性因子の遺伝子発現を制御しているのではないかと考え、野生型トキソプラズマ原虫とIWS1欠損トキソプラズマ原虫の間で発現に差がある遺伝子を網羅的に次世代シーケンサーで調べた。その結果、ROP18のmRNAの発現がIWS1欠損トキソプラズマ原虫では著しく低下していることが分かった。次にROP18の発現低下がIWS1欠損トキソプラズマ原虫におけるインターフェロン誘導性GTPaseの高い寄生胞膜動員率と病原性低下の原因であるかを調べるために、ROP18 mRNAの発現を強制的にIWS1欠損トキソプラズマ原虫で上げたところ、インターフェロン誘導性GTPaseの寄生胞膜動員は低下し、病原性が高くなった。以上のことから、トキソプラズマ原虫の転写調節因子IWS1はROP18 mRNAの発現を制御し、インターフェロン依存的な抗トキソプラズマ免疫応答を抑制することで病原性を調節していることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年1月にmBioに論文を発表できたため。

今後の研究の推進方策

IFN誘導性GTPaseはトキソプラズマだけではなく、同じ胞子虫類であるマラリア原虫や、結核(マイコバクテリウム)菌やサルモネラ菌などの細胞内寄生性微生物が作る病原体含有小胞にも蓄積する。特にGBP欠損マウスは肝臓期マラリア原虫を制御できずに原虫数が有意に多くなることを見出している。マラリア原虫感染肝臓においてGBP欠損によって起きる遺伝子発現を網羅的にRNAseqで検討する。またGBPが細胞死に関与するという報告もあることから、野生型及びGBP欠損肝臓細胞において原虫感染による細胞死を検討する。GBPはNLRP3依存的な細胞死に役割があることから、NLRP3, Caspase-1, Caspase-11やASCのマラリア原虫感染とサルモネラ菌やレジオネラ菌感染防御における役割を、各遺伝子欠損マウス由来の肝臓細胞(肝臓期マラリア原虫感染細胞)及びマクロファージまたは肺上皮細胞・肺胞マクロファージで検討する。マラリア原虫およびマイコバクテリウム、サルモネラ菌およびレジオネラ菌感染マウスの生存率の測定や血液中の炎症性サイトカインの測定を行い、生体レベルでの免疫応答を検討する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] <i>Toxoplasma</i> IWS1 Determines Fitness in Interferon-γ-Activated Host Cells and Mice by Indirectly Regulating ROP18 mRNA Expression2023

    • 著者名/発表者名
      Hashizaki Emi、Sasai Miwa、Okuzaki Daisuke、Nishi Tsubasa、Kobayashi Takashi、Iwanaga Shiroh、Yamamoto Masahiro
    • 雑誌名

      mBio

      巻: 14 ページ: e0325622

    • DOI

      10.1128/mbio.03256-22

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会・シンポジウム開催] The 20th Awaji International Forum on Infection and Immunity2022

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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