本申請研究は、以下に示す3つのテーマを中心として展開しており、肺炎の原因となるレジオネラの宿主細胞内における自己化PLAMPの解明を目指している。当該年度の研究実績の概要をテーマごとに記載する。 1・LCVのリソソームへの輸送経路の遮断機構の解明:該当年度では、レジオネラがRab5をユビキチン化する生理的意義の一旦を明らかにできた。具体的には、レジオネラによってユビキチン化されたRab5はRabGAP-5(活性型のRab5を不活性型に変換する酵素)との親和性が上昇していることを見出した。さらに、レジオネラ含有液胞(LCV)にRabGAP-5が集積することや、この集積がRab5のユビキチン化に働くレジオネラエフェクターの欠損株では見られないことを見出した。 2・LCVの小胞体への移行機構の解明:該当年度では、in vitorにおけるRab33Bのホスホリボシルユビキチン化(PR-UB化)アッセイ系の樹立に成功したのみならず、Rab33BのLCVへの集積に関わるレジオネラエフェクターがPR-UB化されたRab33Bと強固に結合することを見出した。 3・LCVの小胞体定着化機構の解明:該当年度では、小胞体に到達したレジオネラが滑面小胞体から粗面小胞体へと移動する課程において、これまで小胞体での役割が知られていなかったRabタンパク質を利用していることを明らかにした。具体的には、当該Rabタンパク質がレジオネラが小胞体に到達した時間を堺としてレジオネラ周辺へと集積すること、当該Rabタンパク質の発現抑制によりレジオネラの小胞体内移動を阻害することを見出した。
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