研究実績の概要 |
2022年度は、前年度に引き続き、クラスタ/ハブ細胞を標識し、神経活動パタンの情報を保持したうえで一細胞RNA-seq解析を行うための技術開発を、村山班、竹田班と密に連携をとりながら行った。関心細胞を蛍光標識したサンプルの一細胞RNA-seqを実施し、人工的に発現させた遺伝子を含め検出を行うインフォマティクス解析のパイプラインを構築するとともに、実験系の最適化を進めた。並行して、関心細胞集団とその他の細胞間での発現変動遺伝子検出、発現変動遺伝子等の遺伝子セットと疾患関連遺伝子・座位の重複についての統計解析手法を確立し、これを精神疾患動物モデルの一細胞RNA-seq解析データに適応した。ヒト患者のゲノムワイド関連解析、レアバリアント解析、死後脳遺伝子発現解析のデータを用いた統合的な解釈を行うことで、疾患関連転写プロファイル変動を強く認める細胞種を特定することに成功した。 また関連するプロジェクトとして、機械学習手法を用いて神経発達障害原因遺伝子を大規模に同定した研究(Hamanaka et al., Genome Medicine 2022)、ゲノムワイド関連解析の成果に基づいて作製された双極性障害モデルマウスを多角的に解析した研究(Yamamoto et al., Molecular Psychiatry 2023)等の成果を報告した他、統合失調症の分子病理研究に関する最新の知見をまとめるとともに今後の研究の方向性について論じた総説(Nakamura and Takata, Molecular Psychiatry 2023)等を発表した。
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