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2021 年度 実績報告書

コケ植物モデルに基づく花粉の配偶子形成システムの解明とリモデリング

計画研究

研究領域細胞運命操作による植物生殖システムのリモデリング
研究課題/領域番号 20H05780
研究機関京都大学

研究代表者

山岡 尚平  京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (00378770)

研究期間 (年度) 2020-10-02 – 2023-03-31
キーワード生殖細胞分化 / 配偶子形成 / 転写因子 / 花粉 / ゼニゴケ
研究実績の概要

本研究では、陸上植物で進化的に保存された生殖細胞分化因子BONOBO (BNB)の作用機序解明を通じて、花粉における精細胞形成の分子機構と、植物生殖細胞の分化機構の進化的保存性を明らかにするとともに、BNB発現の人為的操作により、配偶子系列細胞の分化誘導系の構築を目指す。
今年度は、シロイヌナズナのBNB誘導発現系から複数のBNB標的遺伝子候補を得た。その中には既知の精細胞形成において中心的な役割を果たす遺伝子群が含まれており、トランスアクティベーションアッセイなどによる検証の結果、BNBはこれらの遺伝子を直接的に活性化することが示唆された。また、別候補であるエピゲノム制御に関わると推測される未知遺伝子について、ゲノム編集によるノックアウト変異株を得て機能解析を行った。その結果、この遺伝子は雄原細胞分化時に活性化し、花粉形成の初期過程に必要な代謝経路の制御に関わることが示唆された。今後の解析のため、雄原細胞分化の成否を可視化したシロイヌナズナの新規マーカーラインを作成した。また、水多班との共同研究により、ベンサミアナタバコでのBNBオルソログのゲノム編集を行い、ノックアウト変異株を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の主目的の1つである花粉の精細胞形成の分子機構解明について、BNBと精細胞形成関連遺伝子群との関係を明らかにできる見通しが立った。また、BNBの標的・下流遺伝子同定とその機能解析、ベンサミアナタバコのBNBオルソログの解析も進展している。もう1つの主目的である、体細胞から配偶子系列細胞を分化誘導する試みも、BNB異所発現系の結果から、実現の可能性が高まったと考えている。このように本研究で期待した成果が得られつつある一方で、ゼニゴケのBNB標的・下流遺伝子の解析などの課題については、今後研究を加速させる。

今後の研究の推進方策

BNBの標的配列解析と新規マーカーラインを用いた雄原細胞分化のトランスクリプトーム解析により、シロイヌナズナBNBの下流メカニズムの全体像を明らかにする。特に、BNBと精細胞形成関連遺伝子群との関係を明確にする。現在解析中のエピゲノム制御関連遺伝子の機能を明らかにする。ゼニゴケにおいて配偶子器始原細胞のトランスクリプトーム・BNB標的配列解析を行い、植物生殖細胞の分化運命決定の進化的保存性について調べる。ベンサミアナタバコのBNBオルソログ変異株を得て、ライブイメージング解析により雄原細胞の分化前後における花粉の細胞内膜構造の動態を明らかにする。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Regulation of gametangia and gametangiophore initiation in the liverwort Marchantia polymorpha2021

    • 著者名/発表者名
      S Yamaoka, K Inoue, T Araki
    • 雑誌名

      Plant Reproduction

      巻: 34 ページ: 297-306

    • DOI

      10.1007/s00497-021-00419-y

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of the sex-determining factor in the liverwort Marchantia polymorpha reveals unique evolution of sex chromosomes in a haploid system2021

    • 著者名/発表者名
      Iwasaki M, Kajiwara T, Yasui Y, Yoshitake Y, Miyazaki M, Kawamura S, Suetsugu N, Nishihama R, Yamaoka S, Wanke D, Hashimoto K, Kuchitsu K, Montgomery SA, Singh S, Tanizawa Y, Yagura M, Mochizuki T, Sakamoto M, Nakamura Y, Liu C, Berger F, Yamato KT, Bowman JL, Kohchi T.
    • 雑誌名

      Current Biology

      巻: 31 ページ: 5522-5532.e7.

    • DOI

      10.1016/j.cub.2021.10.023

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 陸上植物の生殖細胞分化に必要なbHLH転写因子複合体の解析2022

    • 著者名/発表者名
      山岡 尚平、齊藤 美咲、樅木 亮介、吉竹 良洋、光田 展隆、海老根 一生、西浜 竜一、荒木 崇、河内 孝之
    • 学会等名
      日本農芸化学会2022年度京都大会
  • [学会発表] シロイヌナズナ花粉管は先端から核を排除した状態でも伸長制御能力を保持している2022

    • 著者名/発表者名
      元村 一基,杉 直也,松本 歩,武内 秀憲,野田口 理孝,東山 哲也,木下 哲,山岡 尚平,竹田 篤史,丸山 大輔
    • 学会等名
      第63回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] ゼニゴケにおけるジベレリンに関連したメチル基転移酵素機能に影響する新規変異体選抜2022

    • 著者名/発表者名
      下川 瑛太,川村 昇吾,Rui Sun,鈴木 かおり,吉竹 良洋,安居 佑季子,西浜 竜一,山岡 尚平,増口 潔,山口 信次郎,河内 孝之
    • 学会等名
      第63回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] ゼニゴケの配偶子器発生制御におけるMpBZR3の機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      古谷 朋之,山岡 尚平,石崎 公庸,西浜 竜一,荒木 崇,河内 孝之,福田 裕穂,近藤 侑貴
    • 学会等名
      第63回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] ゼニゴケ配偶子器の発生を制御する非典型BZR転写因子2021

    • 著者名/発表者名
      古谷朋之,山岡尚平,石崎公庸,西浜竜一,荒木崇,河内孝之,福田裕穂,近藤侑貴
    • 学会等名
      日本植物学会第85回大会
  • [学会発表] 苔類ゼニゴケの成長相転換制御における日長認識機構の解析2021

    • 著者名/発表者名
      金坂侑紀,井上佳祐,山岡尚平,荒木崇
    • 学会等名
      日本植物学会第85回大会
  • [備考] 「植物生殖改変」領域ホームページ

    • URL

      https://www.remod-reprod.com/

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公開日: 2022-12-28  

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