計画研究
昼夜でおおきく変化する環境下において恒常的に健康を維持するためには、全身の37兆個もの細胞がそれぞれバラバラではなくテンポをそろえて調和的にリズムを刻む必要がある。これまでに、体内でおこる数℃レベルの基礎体温の変化が全身のリズムの調和に寄与することが示されてきたものの分子機構が不明であった。このような中、本研究では、Ribo-seq解析を通じて、体内時計の振動を生み出す中核遺伝子Per2のメッセンジャーRNAの5’UTRに 最小単位upstream open reading frame(uORF)というこれまで見過ごされてきた新しいRNAエレメントを同定し、これが体温による細胞時計のリズム合わせに必須であることを明らかにした。重要なことに、数℃の緩やかな温度変化はPer2の転写ではなく翻訳スピードを調節する。つまり、翻訳速度を調節するRNA上の新奇エレメントによって生物がしなやかに体内リズムを調和させる分子的仕組みを初めて明らかにすることができた(Miyake et al., Cell Reports 42, 112157, 2023)。本成果は領域の目標である『翻訳速度調節機構を基盤としたパラメトリック生物学の創成』に資するものであり、領域ホームページならびに令和5年3月8日開催の第12回都医学研シンポジウム(オーガナイザー:吉種光、土居雅夫;科研費学術変革B「パラメトリク翻訳」共催)において発表を行うとともに、科学新聞 令和5年3月17日3面「体内リズムの時刻合わせ役 新たなRNA配列発見」を通じて公表するに至った。当初の研究計画に従って研究を推し進めることができたといえる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
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