研究領域 | 組合せ遷移の展開に向けた計算機科学・工学・数学によるアプローチの融合 |
研究課題/領域番号 |
20H05793
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 健洋 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (40431548)
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研究分担者 |
大舘 陽太 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (80610196)
小林 靖明 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (60735083)
和佐 州洋 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00781337)
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研究期間 (年度) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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キーワード | 組合せ遷移 / グラフアルゴリズム |
研究実績の概要 |
2020年10月の交付内定からすぐにオンラインでの研究打合せを開始し,本計画研究班の研究目的を改めて研究分担者らと共有した.また,2020年11月と12月には,対面を含む打合せも開催した.そして,具体的に取り組むべき研究として,まずはMouawadらが与えた単項二階述語論理を用いたメタ定理を精査した.このメタ定理は,Courcelleが1990年に組合せ遷移問題ではない問題に対して開発したメタ定理を基にしており,組合せ遷移問題に特有の遷移系列をどのように扱うことで,Mouawadらがメタ定理を開発したのかを重点的に解析した.その結果,遷移系列の長さをパラメータとしている点が,Mouawadらのメタ定理では非常に強く作用していることが判明した.これは,ある意味で,扱う問題の遷移系列の長さに制限があるといえる.そこで本計画研究班では,この遷移系列の長さをパラメータから外すことができないかを議論し,その検討を進めている. また,C01班との連携も開始しており,特に「非対称的な遷移」に関するアルゴリズム研究に力を入れた.これまで研究されてきた組合せ遷移問題のほとんどは,対称的な遷移を扱っており,非対称的な遷移は従来研究の一般化となっている.我々は,具体的には,有向グラフにおける独立集合の遷移問題に取り組み,その計算困難性と容易性について解析を進めた. この他にも,列挙アルゴリズムや指数時間アルゴリズムなど,近接分野の代表的なアルゴリズム手法を組合せ遷移問題へ適用できないか考察を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響で研究が進めにくいところもあったが,繰越を認めて頂いたおかげで,計画していた研究に取り組むことができた.特に,組合せ遷移問題のメタ定理については,従来研究の解析を通して,解決すべき課題がより明確化できている. 海外研究者を訪問して共同研究を行うことは,コロナ禍の影響で出来ないままであったが,海外研究者らとはオンラインでの共同研究を継続して進めることが出来ている. また,C01班との共同研究で生まれた「非対称的な遷移」に関するアルゴリズム研究は,新しい研究視点であり,今後さらなる発展も期待される.
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今後の研究の推進方策 |
組合せ遷移のメタ定理については,明確化した課題に取り組んでいく.グラフ構造パラメータを活用することを検討している. また,非対称的な遷移をはじめ,他の計画研究班との連携によって生まれた新しい課題もあるため,それらには他班の研究者とも協力しながら取り組んでいく. 本計画研究班内部では,近接分野のアルゴリズム手法として,分散アルゴリズムの手法を組合せ遷移に適用できないか検討を行う予定である.
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