研究実績の概要 |
複数の薬剤の組み合わせによる相乗効果(薬剤シナジー)を活用した化学療法が、がんや神経変性疾患など多因子疾患に対する有効な治療法として注目されている。有機化合物の組み合わせ数は膨大であり、実験的に全ての可能性を検証することは不可能である。本研究では、疾患状態の生体情報を入力とし、シナジー効果を有する薬剤群を予測するAIを開発する。 がんなど様々な疾患患者の遺伝子発現プロファイルデータをGEO(Gene Expression Obmnibus)から収集して、情報解析できる形に整備した。シグナル伝達、タンパク質間相互作用、遺伝子制御などの生体分子ネットワーク情報(パスウェイ情報)を様々なデータベース(KEGG PATHWAY, KEGG LIGAND, HPID, STRINGなど)から収集して、最新版に更新して、情報解析できる形に整備した。既承 認薬、開発中止化合物、合成化合物、天然化合物など大規模な化合物の構造データや実験データを様々なデータベース(KEGG, DrugBank, KampoDB, KNApSAcKなど)から収集して、最新版に更新して、情報解析できる形に整備した。遺伝子発現プロファイルの視点から、疾患特有の遺伝子発現プロファイルと相関する薬剤の組み合わせを、最適な薬剤の組み合わせの候補として予測する手法の開発を開始した。医薬品以外の化合物データに関しても、ChEMBL, PubChemなどの化学物質データベースのデータはダウンロードし、機械学習で扱いやすい特徴ベクルトル表現であるフィンガープリントや記述子に変換する計算を行った。創薬分野における経験的予測や有機合成に関する知識に基づく分子設計をAIに組み込む方法を開発を開始した。さらに設計した分子を迅速に供給するため、実験プラットフォームの構築を開始した。
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