研究領域 | シナジー創薬学:情報・物質・生命の協奏による化合物相乗効果の統合理解と設計 |
研究課題/領域番号 |
20H05797
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
山西 芳裕 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (60437267)
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研究分担者 |
天池 一真 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教 (00866600)
竹下 潤一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (60574390)
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研究期間 (年度) |
2020-10-02 – 2023-03-31
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キーワード | 化合物群 / シナジー効果 / AI / 組み合わせ / 最適化 |
研究実績の概要 |
複数の薬剤の組み合わせによる相乗効果(薬剤シナジー)を活用した化学療法が、がんや神経変性疾患など多因子疾患に対する有効な治療法として注目されている。有機化合物の組み合わせ数は膨大であり、実験的に全ての可能性を検証することは不可能である。本研究では、疾患状態の生体情報を入力とし、シナジー効果を有する薬剤群を予測するAIを開発する。 慢性骨髄性白血病など様々な疾患患者の遺伝子発現プロファイルデータやヒト由来細胞における化合物応答遺伝子発現データをGEO(Gene Expression Obmnibus)から収集して、情報解析できる形に整備した。ネットワーク生物学の技術を駆使し、シグナル伝達、タンパク質間相互作用、遺伝子制御などの生体分子ネットワークのトポロジーを基に、異なる薬剤が影響を及ぼす遺伝子群とシナジー効果の関係を解析した。遺伝子発現プロファイルの視点から、疾患特有の遺伝子発現プロファイルと相関する薬剤の組み合わせを、最適な薬剤の組み合わせの候補として予測する手法のプロトタイプを開発し、その性能を数値的に検証した。その結果、先行研究の手法を大幅に上回る精度を達成することができた。 組合せ最適化などの数理科学を活用し、薬剤や生体分子の組合せ問題の数理モデル化とその理論的解法の開発を行った。薬剤や医薬品以外の化合物データに関しても、ChEMBL, PubChemなどの化学物質データベースのデータを整備した。化合物の化学構造や遺伝子発現プロファイルを基に、新しい化合物の組み合わせを検出する最適化アルゴリズムを実装した。 有機合成に関する知識に基づく分子設計をAIに組み込む方法を開発した。合成のしやすさなども考慮する方法を検討した。さらに設計した分子を迅速に供給するため、周辺化合物を一挙に合成する方法の開発に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性骨髄性白血病など様々な疾患患者の遺伝子発現プロファイルデータ、ヒト由来細胞における化合物応答遺伝子発現データ、遺伝子制御などの生体分子ネットワークのトポロジーを基に、最適な薬剤の組み合わせの候補を予測する手法のプロトタイプを開発し、その性能を数値的に検証した。その結果、先行研究の手法を大幅に上回る精度を達成することができた。また、組合せ最適化などの数理科学を活用し、薬剤の組合せを検出する最適化アルゴリズムを実装した。医療の問題における化合物の組み合わせを再現できるかで評価し、良好な結果を得ることができた。AIで予測した化合物の構造を実際に合成したところ、期待する活性を持つことが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
現在の開発した手法のプロトタイプは、承認薬で性能を確認している。これを承認薬以外の化合物にも応用し、大規模なデータにおいても高い性能を示すか検証する。薬理班と連携して、予測した化合物の組み合わせ効果の数を増やして実験検証をより進める。組み合わせ効果に関連すると思われる遺伝子群の発現変動の考察を行う。
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