計画研究
多剤併用による薬剤シナジー効果を適切に解析できる薬効評価系の構築には、病態の一部の遺伝子やタンパク質発現変化を模倣しただけでは不十分であり、病態のメカニズムを網羅的遺伝子・タンパク質発現変化で解析可能な評価系が必要である。本研究では、ヒトのがんおよび各疾患ゲノム・ビッグデータを用いた in silico解析とこれまでに研究代表者が蓄積してきた細胞・動物の病態モデルの解析データを統合し、ヒトの病態時に起こる遺伝子・タンパク質発現変化プロファイルを網羅的に解析できる病態モデルを確立し、薬剤のシナジー効果とその作用機序を解明する手法を構築することを目的とする。本年度は、AI班、医療ビッグデータ班から提供されたシナジー効果を有する可能性の高い薬剤、化合物の組み合わせに関して、病態モデルを用いてシナジー効果の検証を行い、結果をそれぞれの計画班にフィードバックした。具体的には、AI班が予測した慢性骨髄性白血病に対するシナジー効果を有する組み合わせに関して、ヒト慢性骨髄性白血病細胞に対する効果を検証した。その結果、予測された組み合わせのうちの80%以上が相乗効果を示すことが明らかになった。さらに、網羅的遺伝子発現解析により、シナジー効果を示す作用機序を解明した。また、医療ビッグデータ班が予測した抗がん剤誘発末梢神経障害に対する予防薬候補に関して、病態モデルを用いた検証を行った結果、抗がん剤誘発末梢神経障害に対する有意な予防効果が認められた。さらに、予防効果を示す作用機序の一部を明らかにした。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (51件)
Drug Development Research
巻: 84 ページ: 75~83
10.1002/ddr.22013
Clinical and Translational Science
巻: 15 ページ: 2982~2988
10.1111/cts.13419
Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology
巻: 131 ページ: 525~535
10.1111/bcpt.13799
巻: 130 ページ: 553~556
10.1111/bcpt.13717
European Journal of Pharmacology
巻: 928 ページ: 175083
10.1016/j.ejphar.2022.175083
巻: 15 ページ: 1664~1675
10.1111/cts.13282
The Oncologist
巻: 27 ページ: e554~e560
10.1093/oncolo/oyab077
Clinical Infectious Diseases
巻: 75 ページ: 1416~1422
10.1093/cid/ciac128
Biomedicine & Pharmacotherapy
巻: 148 ページ: 112744
10.1016/j.biopha.2022.112744