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2021 年度 実績報告書

考古遺物の材料分析と産地推定

計画研究

研究領域中国文明起源解明の新・考古学イニシアティブ
研究課題/領域番号 20H05817
研究機関明治大学

研究代表者

神谷 嘉美  明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (90445841)

研究分担者 南 武志  奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (00295784)
飯塚 義之  金沢大学, 人間社会研究域, 客員研究員 (90804203)
渋谷 綾子  東京大学, 史料編纂所, 特任助教 (80593657)
石田 智子  鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (40624359)
研究期間 (年度) 2020-11-19 – 2025-03-31
キーワード威信材 / 古代中国 / 文化財分析
研究実績の概要

本研究では有機物と無機物の威信材(漆器、水銀朱、石器・玉器、土器、残存デンプン粒)を対象として、権力の象徴はどこで生み出され伝播したのかを科学分析を通して議論する。そのため分析するモノへのアクセスは必要不可欠であるが、世界的なCOVID-19の流行拡大によって2021年度も訪中しての現地調査はできず、国内調査も制限されていた。
神谷は光学調査の精度向上と粒子観察を実施するための機器類を整備して、二里頭遺跡と陶寺遺跡出土遺物の科学分析を進めて結果を報告書としてまとめ、中国現地の協力者へ提出した。また現地調査に備え、小型の3Dスキャナー等を整備した。石田は第9回領域セミナーにおいて高精度胎土分析の方法について紹介し、國學院大学博物館所蔵の中国遺跡出土の土器調査に着手した。さらに国内での胎土分析研究に向けて、小松市埋蔵文化財センターや長崎県壱岐市の現地研究者らと交流し、基礎的情報の収集に努めた。渋谷は2000年以降に東アジア地域で増えている残存デンプン粒分析の既報告データや文献を収集して、研究動向を整理した。また本研究プロジェクトについて、第36回日本植生史学会大会で紹介した。飯塚はこれまでの研究成果を比較検討して論文化に努め、今後の研究を推進するための作業に注力した。南は新たな水銀朱サンプルでの硫黄同位体分析を実施し、第12回領域セミナーで開発した超微量硫黄同位体分析システムについて解説した。
一方でCOVID-19の感染拡大が継続し、訪中調査が実現できない期間だからこそ取り組めることとして、人材育成を支援する科学分析ハンドブックの作成に2021年度から着手し、2022年度「科学分析はじめてガイド―サンプリングから解釈まで」として紙面発行をした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

世界的なCOVID-19の流行拡大によって、2020年度に続いて2021年度も中国現地での調査を行うことができなかった。さらに国内での現地調査にも支障が生じ、当初計画していた国内外での現地調査の多くは中止となり、調査を通して得る予定であった出土遺物を対象とした分析に取り組むことが困難となってしまった。しかしながら一方で、これまでの研究成果を公開するよう努めたり、関連する文献調査の収集に着手したり、データの整備につとめながら科学分析に関するハンドブックを発行できたことから「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

COVID-19の流行が沈静化した場合には、延期・中止となっている国内外での現地調査を着実に行うことで、分析サンプルの入手に努める。一方で本研究課題は科学分析を実施していく内容であるため、中国の出土遺物という「モノ」へのアクセスが制限されてしまうと、研究を推進しにくい状況になってしまう。そこで今後の方策について毎月班内で打ち合わせを重ねていくだけでなく、2022年度には領域代表者を交えながら議論を交わした。その結果、分析研究に向けたサンプル入手等については中国国内に限定せず、中国に隣接する地域を含めての検討を含むことで合意し、訪中調査が実現できない期間の計画を立て直す予定である。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Scientific study advancements: Analysing Japanese historical materials using archaeobotany and digital humanities2022

    • 著者名/発表者名
      Ayako Shibutani
    • 雑誌名

      Academia Letters

      巻: ー ページ: 4628

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 東南アジア先史時代のネフライト製石器の研究2021

    • 著者名/発表者名
      飯塚義之
    • 雑誌名

      『考古学研究』

      巻: 68(269) ページ: 107-109

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 九州大学総合研究博物館所蔵:玉泉館古代瓦資料の岩相学的研究2021

    • 著者名/発表者名
      飯塚義之・主税和賀子
    • 雑誌名

      九州大学総合研究博物館所蔵:玉泉館古代瓦資料の岩相学的研究

      巻: 18 ページ: 15-37

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 内蒙古・長城地帯における青銅刀子の型式と金属化学組成:木村武山コレクション青銅刀子の調査を基礎に2021

    • 著者名/発表者名
      松本圭太・飯塚義之・鈴木舞
    • 雑誌名

      中国考古学(日本中国考古学会会誌)

      巻: 21 ページ: 55-71

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 木村武山コレクションにおける中国北方系青銅器2021

    • 著者名/発表者名
      松本圭太・飯塚義之・鈴木舞
    • 雑誌名

      鶴間和幸編『木村武山と中国美術コレクション』学習院大学東洋文化研究所調査研究報告

      巻: 70 ページ: 49-131

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Glass beads from Guishan in Iron Age Taiwan: bead exchange in Taiwan and between Southeast Asia.2021

    • 著者名/発表者名
      Wang KW, KT Li, Y Iizuka, YK Hsieh, C Jackson
    • 雑誌名

      Journal of Archaeological Science: Reports

      巻: 35 ページ: 102737

    • DOI

      10.1016/j.jasrep.2020.102737

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 非破壊化学分析法による青森県地域の縄文石器石材の化学分析(第2報)2021

    • 著者名/発表者名
      飯塚義之・杉野森淳子・秦光次郎
    • 雑誌名

      青森県埋蔵文化財調査センター研究紀要

      巻: 26 ページ: 1-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of source mine using sulfur, mercury, and lead isotope analyses of vermilion used in three representative tombs from Kofun period in Japan2021

    • 著者名/発表者名
      Minami Takeshi、Takeuchi Akinori、Imazu Setsuo、Okuyama Masayoshi、Higashikage Yu、Mizuno Toshinori、Okabayashi Kosaku、Takahashi Kazuya
    • 雑誌名

      Journal of Archaeological Science: Reports

      巻: 37 ページ: 102970

    • DOI

      10.1016/j.jasrep.2021.102970

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] みやき町大塚遺跡出土朱の産地推定2021

    • 著者名/発表者名
      南武志・高橋和也
    • 雑誌名

      みやき町教育委員会 編『みやき町内遺跡確認・試掘調査報告書 5-平成30年・令和元年度における佐賀県みやき町内の確認・試掘調査記録-』みやき町文化財調査報告書

      巻: 28 ページ: 150-154

  • [学会発表] 木村武山コレクションにみる契丹金工品の製作技法と金属成分2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木舞・飯塚義之
    • 学会等名
      草原考古研究会2021年12月例会
  • [学会発表] 遺跡出土朱の産地推定のための超微量硫黄同位体分析システムの開発2021

    • 著者名/発表者名
      南武志
    • 学会等名
      中国文明起源第12回領域セミナー
  • [学会発表] 威信材から読み解く古代中国の生業:環境復元のための物質文化研究2021

    • 著者名/発表者名
      渋谷綾子・神谷嘉美・南武志・飯塚義之・石田智子
    • 学会等名
      第36回日本植生史学会大会 B:人と植物の関係史
  • [学会発表] 東南アジアの玉器研究~ 化学分析から見えてきたこと~2021

    • 著者名/発表者名
      飯塚義之
    • 学会等名
      岡山大学文明動態学研究所第5回RIDCマンスリー研究セミナー
  • [学会発表] Metallurgical Study of Anyang Bronze Objects in the Academia Sinica Collection: Experimental Investigation of Bronze Casting Technology.2021

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyuki Iizuka
    • 学会等名
      オーストラリア国立大学 シリーズレクチャー:中国考古学(第18回)
  • [学会発表] 高精度胎土分析の方法と展開2021

    • 著者名/発表者名
      石田智子
    • 学会等名
      第9回領域セミナー「土器胎土分析の現在」
  • [学会発表] 漆器に使用した朱の産地に関する実証的研究2021

    • 著者名/発表者名
      清水香・南武志・高橋和也・本多貴之
    • 学会等名
      日本考古学協会第87回(2021年度)総会
  • [図書] 科学分析はじめてガイド―サンプリングから解釈まで2022

    • 著者名/発表者名
      渋谷綾子・神谷嘉美・南武志・石田智子・飯塚義之
    • 総ページ数
      31
    • 出版者
      勝美印刷(株)

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公開日: 2023-12-25  

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