研究領域 | 中国文明起源解明の新・考古学イニシアティブ |
研究課題/領域番号 |
20H05818
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
渡部 展也 中部大学, 人文学部, 准教授 (10365497)
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研究分担者 |
小林 正史 北陸学院大学, 人間総合学部(社会学科), 教授 (50225538)
村松 弘一 淑徳大学, 人文学部, 教授 (70365071)
大川 裕子 上智大学, 文学部, 准教授 (70609073)
菊澤 律子 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 准教授 (90272616)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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キーワード | 交通路 / 人工衛星画像 / 考古学 / 生業 / 歴史言語学 / 民族考古学 / 調理方法 |
研究実績の概要 |
本計画班は異なる分野の研究者が多く参画しているという特徴がある事から、今後の協働をスムーズに行うために、第4回領域セミナー「稲作限界地帯の農業と水利」「石ボウ遺跡周辺の歴史地理と中原への道(試論)」(2021/2/23)、キックオフセミナー等のアウトリーチ活動の形で、計画班内でそれぞれの研究発表を行い、相互理解を深めた。また、本計画班において重要なウェイトを占めるは海外現地調査が、コロナの影響により実施できなかったため、文献資料調査、国内現地調査、衛星画像解析を中心として研究を進めた。 近年、注目を集める石ボウ遺跡については、現在入手可能な標高データとして最も高い解像度を持つAW3Dデータを購入し、CORONA衛星画像と合わせて判読作業を行った。これらのデータから城壁や構造物を抽出することができたほか、周囲にも若干、遺構の可能性がある痕跡などを確認した。歴史文献資料からは、主として長江流域の分析を行い、基盤的な農作物(イネ、アワ等)以外にも多様な作物が利用されていること等を確認したほか、華北との比較を行うための資料整理を進めた。また、石ボウ-陶寺-中原にかけての交通路の推定、復元の可能性についても、歴史文献に知られる情報を中心に整理を進めた。 民族考古学的調査では、これまでの研究により、ゾミア山地民の主食調理法がウルチ米蒸しであることを初めて体系的に示すことに成功していたが、これら過去の調査データのさらなる解析と、日本国内での古代のウルチ米蒸調理の調査を行った。歴史言語学的データについては、入力する語彙や地域、形式などについて議論し、調整を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画班内で、それぞれの研究内容について相互に理解を深めることができたと共に、計画班としての目標とのすり合わせや役割分担について改めて確認した。また、領域セミナーの開催、キックオフセミナーで報告を行い、研究内容について外部とも情報交換を行う事ができた。それぞれの担当する研究内容に関連しては、主に基礎的資料、データの収集や整理を進め、研究の方向性をより明確としながら来年度への基盤固めを行った。 これらにより、計画班としての研究の方向性について、班および分担者の地盤固めを進めることができた。また、整理した資料について、衛星画像判読や先史時代交通路推定のための予察的な考察も行うなどして、可能な限り研究を具体的に進めるよう努力した。以上、今後の研究推進のための環境を整え、可能な予察的研究に着手することができたことから、おおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、民族誌、言語学、文献史学的観点から基本文献やデータの整理を進め、状況が許せば、現地研究者とも連絡を取りながら現地調査による調査研究を進めてゆく。特に、新石器時代晩期における地域間交流に関連する資料・情報の収集を進めるとともに、衛星画像や(入手可能であれば)現地映像を使った関連遺跡と禿尾河・黄河の河川ルート等の分析を行う。また、領域における本計画班の役割のひとつである考古情報基盤のプロトタイプをサーバー上に実際に構築する。また、構築した情報基盤の試運転を行うことで、システムの要修正点の洗い出しなどを進める。なお、修正箇所等を評価するためには情報の登録が必要であるため、基盤的な背景情報と、計画班内の一連の調査研究で整理される関連情報の試験的な登録を行う予定である。これにより、具体的な情報基盤のユーズケースの確認や、データ仕様についても検討する。さらに、それぞれの用いるデータを相互に確認し、あるいは共有しながら、計画班内における共同研究や協働の可能性についても議論を深めていく。
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