研究領域 | 中国文明起源解明の新・考古学イニシアティブ |
研究課題/領域番号 |
20H05820
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
庄田 慎矢 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 室長 (50566940)
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研究分担者 |
西内 巧 金沢大学, 疾患モデル総合研究センター, 准教授 (20334790)
遠藤 英子 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (60766947)
熊谷 真彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度分析研究センター, 主任研究員 (80738716)
竹井 惠美子 大阪学院大学, 国際学部, 教授 (90197252)
村上 夏希 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, アソシエイトフェロー (90801267)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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キーワード | 脂質 / 雑穀 / タンパク質 / カザフスタン / 酒 / 土器 / クルガン |
研究実績の概要 |
計画研究班の研究分担者らと連携しながら、中国文明の形成において重要な西からのインパクトを与えた、カザフスタン・キルギス・中国の青銅器時代、鉄器時代を中心とした調査研究を進めた。土器圧痕分析からは、アワの中国から中央アジアへの西伝の時期がこれまで考えられていたよりも数百年さかのぼることを明らかにし、国際誌上で発表した。また、土器残存脂質分析の方法を用いて、カザフスタンの各地において、同時期においてもキビの調理のされ方(どのような食材と混合されやすい傾向にあるか)に遺跡や地域による差があることを確認し、学会で発表した。さらに、日本や中国の遺跡出土炭化米にタンパク質が残存していることを確認し、それを同定した研究成果を学会で発表した。一方で、素焼き土器によるアルコール飲料の発酵についての実験的研究を、奈良県内の酒造会社や他県の大学と共同で進め、その成果を関連研究会で発表した。海外調査としては、6月26日から7月7日にかけて、西カザフスタンにおいてキリク・オバ・クルガンの現地調査および西カザフスタン郷土史博物館・研究所収蔵資料の実測調査およびサンプリングを行った。また、10月3日から9日に、ジョージアにおいて素焼き土器によるワイン醸造の民族誌調査を行った。2023 年4 月2 日に同志社大学にて国際シンポジウム「考古学マススペクトロメトリーが明かす古代の食:世界と日本の残存脂質分析のこれまでとこれから」を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポスト・コロナ時代に入り、海外調査がふたたび可能となった。これまで行えなかった遺跡の踏査や現地の博物館等施設に所蔵されている資料の実測調査・サンプリングが可能となり、西カザフスタンにおいて実行に移すことができた。また、国内外の学会で積極的に情報交換を行うことで研究の方向性をより明確にすることができた。国際誌での論文発表も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
アルタイ、キルギス、中国における分析事例をまとめ、論文として出版する。素焼き土器によるアルコール飲料発酵に関するこれまでの研究成果をまとめ、単行本として出版する。領域全体の他の計画研究とのシナジー効果を生み出すため、他班との連携を推進する。
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