計画研究
本年度は、A03家との共同研究を進め、有機電界効果トランジスタに用いる、フッ素を含有するn型半導体とドナー材料の混合物について、19Fを活用した固体NMR測定とその凝集構造解析を行った。提供を受けた材料についてフッ素原子周辺の、分子あるいは原子の情報をえることにより、凝集構造とトランジスタ性能の相関を明らかにすることが目的である。19F-13Cの相関測定から、混合状態においても結晶に近い凝集構造をとっていることを明らかにした。また、熱活性遅延蛍光(TADF)材料のコンフォメーション解析に関しては、昨年度より引き続き、ドナー-アクセプター間のねじれ角について、分布を含めた解析を行うためのNMRシミュレーションを行い、また実際に、13C, 2HラベルしたTADF材料の合成ををA03梶との共同研究により進めた。また、ドナーアクセプター型のTADF材料について、その連結部にあるベンゼン環の運動と発光特性の相関を解明するために、TADF分子の各原子における化学シフト異方性測定に着手した。
2: おおむね順調に進展している
本年度は主に、A03家との共同研究を進め、有機電界効果トランジスタに用いるドナー・アクセプター混合物の構造解析を行った。材料の凝集構造とトランジスタ性能の構造-物性相関の解析を行う基盤ができつつある。また、TADF材料のコンフォメーション解析に関しても、二次元固体NMRの測定結果が得られつつあり、シミュレーションとの比較により、ねじれ角の分布を含めた解析が進行中である。以上のことから研究はおおむね順調に進んでいると考えられる。
A03家との共同研究については、ドナー・アクセプターの混合比を、トランジスタ性能が最も高くなるように最適化したと試料について固体NMR測定を行い、凝集構造解析を進め、構造と物性の相関解明を行る。TADF材料のコンフォメーション解析に関しては、シミュレーションと二次元固体NMRの実測との比較を行い、ねじれ角の分布を含めた評価を進める。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Chem. Mater.
巻: 34 ページ: 736-745
10.1021/acs.chemmater.1c03533
Chem. Lett.
巻: 50 ページ: 1953 - 1955
10.1246/cl.210446
J. Am. Chem. Soc.
巻: 143 ページ: 17388 - 17394
10.1021/jacs.1c04731
J. Org. Chem.
巻: 86 ページ: 11531-11544
10.1021/acs.joc.1c01101
Appl. Phys. Express
巻: 14 ページ: 071003 1-5
10.35848/1882-0786/ac06df