研究実績の概要 |
熱活性遅延蛍光(TADF)材料におけるドナー部位、アクセプター部位のねじれ角は、HOMO-LUMOの重なり、最低一重項-三重項エネルギー差、スピン軌道相互作用を決定する、非常に重要なパラメーターである。しかしこれまで、このねじれ角を実験的に決定することは難しかった。本年度は、A03梶との共同研究を進め、熱活性遅延蛍光(TADF)材料のコンフォメーション解析を進めた。固体DNP-NMRを用いることにより、同位体ラベルすることなく、ドナー-アクセプター間のねじれ角を定量的に求める手法を開発した(J. Am. Chem. Soc., 2023, 160, 145, 16324-16329)。 さらにドナーアクセプター型のTADF材料について、その連結部にあるベンゼン環の運動と発光特性の相関を解明するために、重水素化ラベル化したTADF分子を合成し、これら材料のNMR測定から、その運動性を評価を進めた。 また、これまで1次元で展開してきたNMRのノイズ除去法を2Dに展開した。本手法を用いることによりNMR解析の精密化、測定時間の短縮、使用サンプル量の低減が期待されるだけでなく、他の測定手法にも展開可能と期待される。
|