研究実績の概要 |
1) 本研究では、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料の高性能化を進めた。この発光過程においては逆項間交差(RISC)が律速となっており、高輝度域での効率向上や素子寿命向上の観点から、その高速化が求められている。我々は、RISCを高速化するためのtFFOと名付けた新たな分子設計指針を提案し、実際に10^6 s^-1レベル、さらには発表当時世界最速の10^7 s^-1の超高速RISCを実現した(Nat. Photon., 14, 643 (2020); Front. Chem., 8, 530 (2020))。 2) さらにTADFに関し、国内共同研究(Jpn. J. Appl. Phys., 60, 040902 (2021) Published online: Mar. 2021)、英国、ドイツとの共同研究(Mater. Adv., 1, 2862 (2020))へと発展させることができた。 3) 本研究では一重項分裂(SF)への拡張も視野に入れている。今年度は、量子化学に基づき、SFに関する基礎的理解を深めた(Bull. Chem. Soc. Jpn., 93, 1305 (2020); J. Phys. Chem. A, 124, 3641-3651 (2020); ACS Omega, 6, 2638 (2021) Published: Feb. 2021)。 4)梶がこれまで構築してきた「TADF分子設計・スクリーニング計算法」を本学術変革領域メンバー全員に共有化し、共同研究を始めた。今堀、佐伯、作田グループとはTADF分子設計、デバイス化に関し、小堀、鈴木、山方グループとはESR、NMR、高速可視紫外分光によるTADF分子の精密解析を進めた。一部、結果が出始めている (ChemPlusChem, 86, 130 (2021) Published: Jan. 2021)。
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