研究実績の概要 |
1) 従来起こりえないと考えられていた電荷移動(CT)性三重項からCT性一重項への逆項間交差(RISC)が、ゆらぎ効果により高効率化することを論文化した(ChemPhysChem, 22, 625 (2021))。2) 1)の分子は、HOMOとLUMOの分離から振動子強度fが小さいと予想され計算でもゼロであったが、実測のPLQYは100%であった。この点、効率的な発光が分子振動によることを理論計算により解明した(J. Phys. Chem. A, 125, 4534 (2021))。3) 昨年度とは異なる設計指針により、10^8 s^-1を超える世界最速レベルのRISCを実現した(Appl. Phys. Express, 14, 071003 (2021))。4) TADF材料の設計を、これまでΔEstとf値の観点からスクリーニング手法を構築してきたが失敗に終わる場合も多かった。今回、その原因となる、スピン軌道相互作用、分子振動の影響、無輻射失活、複数準位の考慮、を含めた包括的な計算手法の開発に成功した(J. Phys. Chem. A, 125 9000 (2021))。5) 英国、ドイツ、中国、韓国との共同研究を進めた(J. Org. Chem., 86, 11531 (2021); Beilstein J. Org. Chem., 17, 2894 (2021); Adv. Sci., 2106018 (2022))。また、学内共同研究も進めた(J. Am. Chem. Soc., 143, 17388 (2021))。6) これまでの共同研究に加え、今回、上記4)の手法を三ツ沼グループとの共同研究に展開した。また、領域代表の今堀を中心に、班長の小堀と梶とで、領域のコンセプトを総説としてまとめた(Acc. Mater. Res., 2, 501 (2021))。
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