研究領域 | ダークマターの正体は何か?- 広大なディスカバリースペースの網羅的研究 |
研究課題/領域番号 |
20H05852
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村瀬 孔大 京都大学, 基礎物理学研究所, 特任准教授 (00839433)
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研究分担者 |
成子 篤 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定助教 (80749507)
山中 真人 大阪市立大学, 南部陽一郎物理学研究所, 特任助教 (70585992)
藤井 俊博 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (50706877)
廣島 渚 富山大学, 学術研究部理学系, 助教 (60845741)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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キーワード | ダークマター / マルチメッセンジャー / ニュートリノ / 超高エネルギー宇宙線 |
研究実績の概要 |
TeVを超える重いダークマター粒子由来のマルチメッセンジャー信号を探索、その寿命や対消滅断面積についての一般的制限を行うため、銀河内や銀河間空間を超高エネルギー宇宙線や超高エネルギーニュートリノ、高エネルギーガンマ線が伝搬する際に起こす反応を計算するコードを整備した。銀河系内の任意の位置から地球へ飛来するガンマ線が伝搬する際に受ける吸収の影響を考慮した上で、Tibetで観測された拡散銀河系内sub-PeVガンマ線のデータから示唆される拡散銀河系内高エネルギーニュートリノ放射への一般的な上限値を導いた。この結果は今後のIceCubeやKM3Netによる観測で検証可能な重要な結果である。更に重いダークマターの崩壊から生成される超高エネルギーガンマ線フラックスを計算、最新のAugerによる超高エネルギーガンマ線フラックスへの上限値を用いて10の21乗eVを超える重いダークマターについて最も厳しい寿命への制限を得た。更にAugerによる超高エネルギー宇宙線のスペクトルと組成の両方のデータを用いた重いダークマターへの寿命への制限を初めて得た。また、ダークマター対消滅が電波望遠鏡で観測可能な21cm線吸収に与える影響を調べ、N体シミュレーションの結果を利用しブースト因子を評価することで、凍結機構で生成された熱的な残存ダークマターの質量への制限を得た。レプトン核子非弾性散乱における重いクォーク対生成に付随する荷電レプトンフレーバーの破れも調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響により、ポスドクのDas氏とSong氏の雇用が遅延した。また研究会への出席、情報収集、発表や海外研究者との共同研究に支障があった。
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今後の研究の推進方策 |
フェルミによるガンマ線データを解析し、拡散sub-TeVガンマ線を用いて、重いダークマターの粒子の寿命や対消滅断面積について最新の制限を行う。また銀河ハローに存在する宇宙線由来の信号の探索も行う。
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