研究領域 | ダークマターの正体は何か?- 広大なディスカバリースペースの網羅的研究 |
研究課題/領域番号 |
20H05857
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
山崎 典子 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (20254146)
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研究分担者 |
田村 隆幸 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (00370099)
林 佑 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 量子場計測システム国際拠点, 研究員 (00846842)
平山 文紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (10357866)
シミオネスク オーロラ 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 客員科学研究員 (30791694)
佐藤 浩介 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50453840)
神代 暁 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 総括研究主幹 (60356962)
満田 和久 国立天文台, 先端技術センター, 特任教授 (80183961)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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キーワード | 暗黒物質 / 極低温検出器 / X線分光検出器 / 太陽アクシオン |
研究実績の概要 |
X線検出においては,従来の半導体検出器をマイクロカロリメータと呼ばれる極低温検出器に置き換えることで,エネルギー分解能を20倍以上 引き上げることができる。これにより輝線感度は劇的に向上し,ダークマター探査にも新たな手法の可能性が生まれる。本計画研究では,極低温検出器を用いたダークマター候補粒子の直接検出実験として、太陽アクシオンによる14keVの輝線的アクシオンの検出を目指し、この目的に特化したカロリメータアレイの作成を行っている。超伝導薄膜の成膜装置を本研究で導入し、膜厚その他の成膜条件と膜質の関係をしらべ、製作の最適化およびそのパラメータを用いた素子設計を行っている。また吸収体に鉄57同位体を用いるが、そのためにはカロリメータ温度計部と吸収体の間に距離をあけ、熱伝導ストラップで結ぶ特殊な構造をとる必要がある。さらに純鉄を電析などで成膜する手法の開発が必要である。今年度はシミュレーション等によりカロリメータ構造とエネルギー分解能の特性を調べるとともに、試作素子のX線照射実験データの解析、シミュレーションとの比較検討を行った。また低温化で同時に多画素読み出しを可能とするマイクロ波読み出し回路の作成に着手した。また宇宙観測による背景放射あるいは銀河団などのダークマター柱密度の高い天体からのダークマター起源の放射の検出において,開発中のXRISM衛星を用いた新たな探索を行なう手法についても検討を行った。同時にアクシオンの中性子星近傍の磁場による光子への変換過程をもちいた探索手法についても検討をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度に導入した薄膜製造装置を用いてカロリメータ素子の製作を行っている。まだ製作条件とカロリメータ性能の条件だしにおいて、再現性が少したりず、ばらつきが大きい。そのため素子評価に遅れはでている。一方で電析による吸収体作成やシミュレーションは順調に推移している。また、分担者であるシミオネスク氏が、COVID-19のために来日する予定を延期しており、TV会議等は行っているが多少議論に遅れがある。
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今後の研究の推進方策 |
直接検出実験については、薄膜製作装置内の真空度をあげるなど製作手法の安定化を進める。また電析についてもより多彩な条件での製作をすすめる。パルス取得実験結果について、シミュレーションによる理解をさらにすすめる。観測的研究については、将来計画のための検討に加えこれまでのアーカイブデータからできる探索についても検討を行う。
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