研究領域 | 高密度共役の科学:電子共役概念の変革と電子物性をつなぐ |
研究課題/領域番号 |
20H05866
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
酒巻 大輔 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60722741)
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研究分担者 |
清水 大貴 京都大学, 工学研究科, 助教 (10845019)
春田 直毅 京都大学, 福井謙一記念研究センター, 特定助教 (90784009)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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キーワード | フタロシアニン / アザアセン / πスタック / 分散力 / 高密度共役 |
研究実績の概要 |
これまでの研究によって、周縁部に8枚のジアザペンタセンを導入したフタロシアニンがそれぞれのジアザペンタセン部位を噛み合わせるように会合することで強固な二量体を形成することが分かっていた。この会合体の形成は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析によって単量体と二量体がそれぞれ単離可能であることおよび、反磁性である亜鉛フタロシアニンの溶液中での核磁気共鳴スペクトル、常磁性である銅フタロシアニンに対する電子スピン共鳴スペクトルによって確認されていたが、X線を用いた結晶解析には成功していなかった。このことは、ジアザペンタセンの外側に位置する置換基がノルマルヘキシル基であったため、会合体同士の相互作用に乏しく、良質の結晶が得られなかったためであった。そこで本年度は、X線結晶解析による会合体の構造決定を目指し、より強い分子間相互作用を示す側鎖を導入した新規ジアザペンタセン置換フタロシアニンの開発を行った。異なる置換基を導入した誘導体を種々合成し、結晶化を試みたところ、良質な単結晶を与えるものを見出すことができた。この結晶に対して単結晶X線構造解析を行い、その結晶構造を明らかにすることに成功した。二量体の構造は、核磁気共鳴および電子スピン共鳴スペクトルからの予測通り、それぞれのアザアセン部位を噛み合せたように会合していることが実証された。また、二量体間には側鎖部分同士によるCH/π相互作用が見られ、これが良質な結晶を与えた原因であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究当初からの重要課題であった円筒状πスタックによって会合したフタロシアニン二量体の結晶構造解析に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
円筒状πスタックによって会合したフタロシアニン二量体の電子的性質の解明を実験・理論の両面からさらに推進する。
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