研究領域 | 高密度共役の科学:電子共役概念の変革と電子物性をつなぐ |
研究課題/領域番号 |
20H05867
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
竹延 大志 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70343035)
|
研究分担者 |
熊井 玲児 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (00356924)
関 修平 京都大学, 工学研究科, 教授 (30273709)
福井 識人 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70823277)
|
研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
|
キーワード | 分子性固体 / 物性実験 |
研究実績の概要 |
本研究は,A01・A02・A04班により高密化・集積化された高密度共役分子集積体に対して様々な物性測定を行い,新しい分子間共役である“X”-conjugationを検証・確立する。本目的のため、2020年度は,竹延・熊井・関がOnly One計測評価技術を活かした基礎物性解明と期間後半を見据えた「高次複合解析法」の基盤確立に取り組んだ。以下に,2020年度の成果を示す。 光電子素子形成・評価(竹延・福井) 1) キャリア伝導・光・熱・磁気物性の解明:領域内で合成された物質の評価を行った。特に、福井は大気下で動作するn型有機半導体分子を新たに創出し、A01班忍久保とA03班関との共同研究により優れた伝達特性を明らかにした。加えて,竹延は歪みによる構造変調を加えながら伝導・発光特性を解明する高次複合的な測定技術を開発した。 2) 電気化学・電気二重層トランジスタを用いた超高密度キャリア蓄積:高分子材料に対して高密度なキャリアドーピングを行いつつ、伝導特性や熱電変換特性の測定に成功し、伝導機構を解明した。 環境制御下超微細構造評価(熊井):放射光X線回折による高密度共役の可視化のための、領域内で合成された物質における電子密度分布解析を検討した。具体的には、A01班忍久保、A03班福井との共同研究により、数種類のノルコロール誘導体について回折測定を行い、高度な解析に耐え得る高次複合的な測定方法の確立を行った。 超高スループット電子伝導・スピン輸送複合評価(関): 高次複合解析法である、1) 弾性表面波を用いた音響圧縮手法、2)負の圧力下の計測、に向けた測定装置・技術の設計・開発を行った。並行して、A02班芥川との共同研究により、n型有機半導体塩の静電相互作用とファンデルワールス力の競合系において、相互作用の変化を光電気伝導度測定により評価し、いくつかのクラスに分類されることを見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2020年度は、竹延・福井が打ち出す戦略のもと,竹延・熊井・関がOnly One計測評価技術を活かした基礎物性解明と期間後半を見据えた「高次複合解析法」の基盤確立を目標としていた。以下に,各研究項目の進捗状況を示す。 光電子素子形成・評価(竹延・福井) 1) キャリア伝導・光・熱・磁気物性の解明:伝導・光・熱・磁気物性の評価を目標としており、2020年度は、低温プローバーや領域内共通装置として導入する物理特性測定システムにより,伝導・熱特性の温度・磁場・歪みに対する依存性の解明を目的としていた。これに対して、新型コロナウイルス感染症の影響により物理特性測定システムが納品されなかったが、当初の予定を前倒しし、歪みにより構造に変調を加えながら伝導特性や発光特性の測定手法を確立した。また、領域発足後の短い時間で領域内共同研究が実を結んでおり、計画以上に進展している。 2) 電気化学・電気二重層トランジスタを用いた超高密度キャリア蓄積:高密度なキャリア蓄積は竹延が得意としており、電気化学的に安定な高分子への導入は当初の予定通りであり、順調に展開している。 環境制御下超微細構造評価(熊井):領域発足後の短い時間で、領域内で合成された物質における電子密度分布解析を検討した。これは、A01班忍久保、A03班福井との共同研究であり、計画以上に領域内共同研究が進展している。新型コロナウイルス感染症の影響により納品が間に合わなかった装置があったが、それ以上の成果が得られている。 超高スループット電子伝導・スピン輸送複合評価(関): 高次複合解析法である、1) 弾性表面波を用いた音響圧縮手法、2)負の圧力下の計測、に向けた測定技術の開発は難航が予想されていたが、当初の計画以上に準備が進んでいる。新型コロナウイルス感染症の影響により納品が間に合わなかった装置があったが、それ以上の成果が得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の影響により納品が間に合わなかった装置があったが、当初の計画以上に進展している。今後は、納品予定の装置類を用いて当初の研究計画に従って推進する。
|