計画研究
本計画研究においては、マテリアルが最初に接触する生体要素、すなわちマテリアルと生体とのインターフェースである細胞膜を「まるごと」その挙動を含めて可視化することを目的に研究を実施している。同時に膜上で生じるマテリアル―細胞相互作用を、その強弱によらず網羅的に可視化し、相互作用により、細胞膜直下、細胞内および各オルガネラ等で生じる細胞応答を、蛍光バイオイメージングで同時可視化する実験系が構築された。この相関イメージングにより 、マテリアルシンバイオシスを司る分子基盤、すなわち、生体がマテリアルと遭遇した時に呈する細胞応答や細胞動態を可視化した。本研究で実施する、細胞表面で生じるマテリアルと細胞表面タンパク質の「弱い相互作用」が生じている現場である細胞膜の動態観察を実現するために必要な、各種バイオイメージング技術の開発等を行った。また、オルガネラ間の「弱い相互作用」の解析結果に関する論文を発表した。さらにこの研究成果を発展させ、相互作用様式の定量解析や物質あるいは各種病原体等と細胞との相互作用と細胞応答解析へと発展させている。また、ウイルスをモデルとして宿主細胞との相互作用を制御する細胞間シグナル伝達機構を見出し、論文化を進めてきた。物質との相互作用においても同様の機序が作動するかも検討中である。本研究グループは、研究領域内の測定拠点としての活動も求められている。本年度は、R2年度から継続してその体制整備を実施し、実際に運用を開始し順調に稼働している。稼働中の機器は以下の通り。高速ディスク式共焦点顕微鏡3機(うち2機は2波長同時刻画像取得可能、3機は超解像ユニット実装)、全反射顕微鏡1機、広視野顕微鏡1機等。本年度の共同研究実績は領域内外で20件に及んだ。また、例年通り領域共催のイメージング講習会を実施した。
2: おおむね順調に進展している
年度当初において交付申請書に記載した本年度の実施計画にそって進展したから。
イメージング拠点は従前どおり円滑な運営体制も維持する。 また、これらの機器を活用し、さらなる観察の高解像度化を進め、相互作用様式の定量解析や物質あるいは各種病原体等と細胞との相互作用と細胞応答解析をさらに進める。おって、さらなる共同研究の活性化につなげる。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 25 ページ: 2406~2406
10.3390/ijms25042406
Biophysics and Physicobiology
巻: - ページ: -
10.2142/biophysico.bppb-v21.s017
ACS Applied Materials & Interfaces
巻: 16 ページ: 2110~2119
10.1021/acsami.3c14714
Biomaterials
巻: 303 ページ: 122381~122381
10.1016/j.biomaterials.2023.122381
Communications Biology
巻: 6 ページ: -
10.1038/s42003-023-05081-w