研究領域 | マテリアルシンバイオシスための生命物理化学 |
研究課題/領域番号 |
20H05877
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
荏原 充宏 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (10452393)
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研究分担者 |
宇都 甲一郎 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (30597034)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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キーワード | 物質共生 / 免疫寛容 / 抗炎症 / 生体模倣 / スマートポリマー |
研究実績の概要 |
近年の免疫治療学分野では、抗体のような標的分子と強く相互作用する分子ではなく、弱い相互作用に基づいて共生状態を調整している分子が大いに注目を集めている。本研究では、細胞がアポトーシスを起こす際に細胞膜の外側に露呈されるフォスファチジルセリン(PS)に着目し、抗炎症シグナルの誘導メカニズムを解明することを目的としている。その実現のために本研究では、独自に開発を進めてきたPSを模倣した合成ポリマー(methacryloyloxyethyl phosphorylserineポリマー; MPSポリマー)を基盤とした新たなシンバイオティック・マテリアルの創製を目指す。当該年度は、アMPSポリマーの分子デザインの最適化を行った。具体的には、マクロファージなどの免疫細胞が発現しているレセプターを同定し、MPSの物性(粒子径、硬さ、荷電、疎水度、共重合するモノマーの種類など)とレセプターの種類との相関を調査した結果、硬い粒子、小さい粒子が高い抗炎症効果を示した。これはマクロファージへの取り組み安さが原因と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は測定装置を揃えセットアップを行った。一部試薬などに関しては資材の納入の遅れなどがあったが、それ以外はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はMPSポリマーと免疫細胞との弱い相互作用という観点から、MPSポリマーの重合比、組成、分子量、粒径などが抗炎症効果に与える影響を詳細に調べることで、これまでになかった「物質共生のための生命物理化学」という学問を切り拓く。同時に物質共生のためのキーマテリアルを創製し、領域目標の達成に寄与する。
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