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2020 年度 実績報告書

時空間光波シンセシスによる散乱透視基盤の構築

計画研究

研究領域散乱・揺らぎ場の包括的理解と透視の科学
研究課題/領域番号 20H05886
研究機関神戸大学

研究代表者

的場 修  神戸大学, 先端融合研究環, 教授 (20282593)

研究分担者 上野原 努  大阪大学, 工学研究科, 助教 (10868920)
小倉 裕介  大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (20346191)
全 香玉  神戸大学, システム情報学研究科, 助教 (40814778)
研究期間 (年度) 2020-11-19 – 2025-03-31
キーワードマルチモーダルイメージング / 散乱光イメージング / 強度輸送方程式 / 蛍光ディジタルホログラフィ / シングルピクセルイメージング
研究実績の概要

散乱透視基盤技術は,散乱光の観察系と生体内部への照明系の2つから構成される。観察系に関しては,強度輸送方程式ベースの3次元蛍光イメージングシステムを構築した。可変焦点レンズを導入することで,機械的移動部がなく,蛍光ビーズを複数層重ねた試料において0.8 mmの範囲で試料の奥行き位置を変化させることに成功した。散乱揺らぎの影響を克服した生体の深部計測を行うために,細胞活動における時間的蛍光信号をモデルとした新たな3次元蛍光イメージング方法を提案した。シミュレーションによる提案手法の有効性を確認し,散乱を通過した光源の3次元位置の特定に成功した。散乱体のシングルピクセルイメージングを行うために,空間光変調素子を導入して強度が一様で位相のみが照明領域で変化しているパターンの生成を行った。これにより強度変化がなく位相変化のみを与えるような散乱体すなわち位相物体のシングルピクセルイメージングに取り組んだ。基本的な原理検証のために,マッハツェンダー干渉計を構築し,少ないピクセル数(解像度)で実験を行い,位相物体のシングルピクセルイメージングが可能であることを明らかにした。照明系に関しては,高い開口数の顕微鏡対物レンズを用いてサブ回折限界光パターンを生成することを想定し,偏光を考慮したベクトル回折理論による光波場解析を行った。その結果,計算機合成ホログラムに入射する偏光に依存した生成パターンの変化などの特性が明らかとなった。また,散乱体構造の特定に有用な,個別に制御・識別が可能なガイド星の一つの機能として,発光スペクトルによる信号の光符号化を検討し,蛍光分子間の蛍光共鳴エネルギー移動により様々な符号化信号が得られることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の研究計画では,散乱光の観察技術と生体内部への照明技術の2つから構成される。散乱光の観察技術では、強度輸送方程式ベースの3次元蛍光イメージングシステムにおいて深部範囲を拡張することに成功した。また、シングルピクセルイメージングでは強度変化がなく位相変化のみを与えるような散乱体に適用可能な位相物体のシングルピクセルイメージングに取り組んだ。これら複数の計測技術の一体化に向けて研究を進めている。照明技術では各種イメージング用の照明として高い開口数の顕微鏡対物レンズを用いたサブ回折限界光パターンの生成に向けて,偏光を考慮したベクトル回折理論による光波場解析を実施した。また,散乱情報取得のためにガイド星として蛍光分子間の蛍光共鳴エネルギー移動により様々な符号化信号について検討を開始した。シングルピクセルイメージングを中心に計画研究内での共同研究についても議論して進めている。また学術論文の出版や学会発表等も実施している。これらの成果から「おおむね順調である」と判断した。

今後の研究の推進方策

散乱光の観察技術では,強度輸送方程式ベースの3次元蛍光イメージングシステム,ディジタルホログラフィー,シングルピクセルイメージングについて散乱光計測とイメージングについて進める。それぞれの利点を生かし,一体化システム化についても検討を進める。シングルピクセルイメージングを中心に,深層学習を活用し,少ない計測回数での再構成画像の画質や分解能向上を図る。散乱体に対する照明技術では,引き続きサブ回折限界パターンの設計を進め,奥行き方向の拘束条件を追加し3次元光パターン生成とする。また,パターン照明と計算イメージングを組み合わせた広視野イメージングについて検討を開始する。マルチスケールの生体サンプルの開発にも着手する。これらの研究を連携させて,散乱体からの多角的センシング技術の確立を目指す。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Universitat Jaume I(スペイン)

    • 国名
      スペイン
    • 外国機関名
      Universitat Jaume I
  • [雑誌論文] Multi-Physical Parameter Cross-Sectional Imaging of Quantitative Phase and Fluorescence by Integrated Multimodal Microscopy2021

    • 著者名/発表者名
      Rajput Sudheesh K、Matoba Osamu、Kumar Manoj、Quan Xiangyu、Awatsuji Yasuhiro、Tamada Yosuke、Tajahuerce Enrique
    • 雑誌名

      IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics

      巻: 27 ページ: 1~9

    • DOI

      10.1109/JSTQE.2021.3064406

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Dynamic phase measurement of a transparent object by parallel phase-shifting digital holography with dual polarization imaging cameras2021

    • 著者名/発表者名
      Xia Peng、Ri Shien、Inoue Tomoyoshi、Awatsuji Yasuhiro、Matoba Osamu
    • 雑誌名

      Optics and Lasers in Engineering

      巻: 141 ページ: 106583~106583

    • DOI

      10.1016/j.optlaseng.2021.106583

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pain induces stable, active microcircuits in the somatosensory cortex that provide a therapeutic target2021

    • 著者名/発表者名
      Okada Takuya、Kato Daisuke、Nomura Yuki、Obata Norihiko、Quan Xiangyu、Morinaga Akihito、Yano Hajime、Guo Zhongtian、Aoyama Yuki、Tachibana Yoshihisa、Moorhouse Andrew J.、Matoba Osamu、Takiguchi Tetsuya、Mizobuchi Satoshi、Wake Hiroaki
    • 雑誌名

      Science Advances

      巻: 7 ページ: eabd8261

    • DOI

      10.1126/sciadv.abd8261

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] サブ回折限界照明顕微法における奥行き方向分解能の評価2021

    • 著者名/発表者名
      山田理己,小倉裕介,西村隆宏,玉田洋介,村田隆,谷田純
    • 学会等名
      第68回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 空間光変調器を用いたパターン相関によるシングルピクセルイメージング2021

    • 著者名/発表者名
      水谷康弘, 片岡将麿, 上野原努, 高谷裕浩
    • 学会等名
      レーザー学会学術講演会 第41回年次大会
    • 招待講演
  • [備考]

    • URL

      https://www.lab.kobe-u.ac.jp/csi-applied-optics/index.html

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公開日: 2022-12-28  

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