研究領域 | 散乱・揺らぎ場の包括的理解と透視の科学 |
研究課題/領域番号 |
20H05886
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
的場 修 神戸大学, 先端融合研究環, 教授 (20282593)
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研究分担者 |
上野原 努 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10868920)
小倉 裕介 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (20346191)
全 香玉 神戸大学, システム情報学研究科, 助教 (40814778)
亀井 保博 基礎生物学研究所, 生物機能解析センター, 特任准教授 (70372563)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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キーワード | マルチモーダルイメージング / 散乱光イメージング / 強度輸送方程式 / 蛍光ディジタルホログラフィ / シングルピクセルイメージング |
研究実績の概要 |
強度輸送方程式による3次元蛍光イメージングとパターン化照明と計算イメージングに基づく広視野イメージングを一体化したシステム構築に取り組んだ。位相変調素子を用いた領域限定のランダム強度パターンを複数生成し,それをシフトさせることで物体との相関に相当する光エネルギーを取得し,視野を広げた観測が可能であることをシミュレーションで検証した。強度輸送方程式による3次元蛍光イメージングでは,散乱板越しにタバコ培養細胞を観察し,蛍光散乱光の強度と位相分布の同時計測に成功した。また,散乱蛍光の振幅と位相分布を用いた光伝搬計算により3次元蛍光像の復元を行った。シングルピクセルイメージングの高解像度化のために,機械学習を適用した。試料に照明するパターンがボケることを利用して,従来では考慮されていないサブピクセルの情報を抽出することができるネットワークを構築した。照明した2次元パターンの解像度の16倍の解像度のイメージングが可能であることを,シミュレーションおよび実験的に明らかにした。計算イメージングで利用する構造化照明の形状にサブ回折限界光スポットを配置する計算機合成ホログラムの設計を進めた。また,反復アルゴリズムに適切な光軸方向の拘束条件を導入することにより,3次元的なマルチスポット生成が可能であることをシミュレーションにより確認した。ガイド星としての利用をめざして,フェルスター共鳴エネルギー移動を利用し,波長信号により発光を制御できる蛍光系を考案し,その特性を解析した。散乱光イメージングの観察用標本のために,動物,植物でトランスジェニック系統の作出のためのコンストラクトを完成させ,メダカにおいては2種類の蛍光タンパク質(mNeonGreenとtdTomato),コケは熱ショック誘導により核局在蛍光タンパク質(mCitrine)をそれぞれ作出し,誘導系も機能することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画では,散乱体からの散乱光情報を多角的に取得するために,研究分担者と連携して,複数の物理量を同時測定する複数の計測手法の開発に取り組むとした。その結果,散乱体を用いた強度輸送方程式による3次元蛍光イメージング実験,パターン照明と計算イメージングに基づく広視野イメージングおよびシングルピクセルイメージングに取り組んだ。また,これらを統合した一体化マルチモーダルイメージングシステムの構築も開始している。強度輸送方程式による3次元蛍光イメージングにおいては,神戸大学にてハンズオン講習会を通じ,計画班及び他の計画班,公募研究のメンバにもプログラムを公開し,広く使えるようにした。また,公募研究と共同研究を推進し,強度輸送方程式による位相分布推定アルゴリズムの更なる改良にも取り組んでいる。シングルピクセルイメージングでは高解像度化のために,機械学習を適用し,サブピクセル情報を抽出することに成功した。特に,照明した2次元パターンの解像度の16倍の解像度のイメージングが可能であることを,シミュレーションおよび実験的に明らかにしている。照明パターンの設計では,計算イメージングで利用する構造化照明の形状にサブ回折限界光スポットを配置する計算機合成ホログラムの設計を進めている。3次元マルチスポット生成において,反復アルゴリズムに適切な光軸方向の拘束条件を導入することの有効性をシミュレーションにより確認している。散乱媒体の散乱情報取得にはガイド星の利用が考えらえる。このため,フェルスター共鳴エネルギー移動を利用し,波長信号により発光を制御できる蛍光系について取り組みを開始した。また,動植物応用に向けてのモデル試料の作成も進めている。これらの成果は学術論文及び国内外の学会で発表している。これらの成果から「おおむね順調である」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
散乱体からの散乱光情報を多角的に取得するために,研究分担者と連携して,複数の物理量を同時測定する複数の計測手法の開発に引き続き取り組み,さらにそれらを統合する一体化計測システムの構築につとめる。これらのイメージング技術を生きた動植物細胞の内部イメージングに適用する。散乱体イメージングでは散乱による影響で画像劣化が著しい。観察系に関しては,散乱による影響の少ないシングルピクセルスキャニングホログラフィーと圧縮センシングまたは深層学習を組み合わせたイメージング技術を開発し,それを蛍光ビーズ及び研究分担者が作成した動植物細胞観察に適用する。また,パターン照明と計算イメージングに基づく広視野イメージングに引き続き取り組み,従来の光学顕微鏡の観察範囲を拡張するイメージング技術の開発を行う。シングルピクセルイメージングでは,空間光変調素子を用いて3次元照明パターンを生成し,擾乱の多い環境下で3次元イメージングの可能性を検討する。散乱体中の照明技術に関しては,強度以外に位相や偏光分布を制御した照明光の生成に取り組む。ベクトル回折理論による計算手法を導入し,計算機合成ホログラムにより強度・位相・偏光分布を操作する手法の開発を進める。散乱透過行列を用いたディジタル光波補正技術に関して参照パターンを取り入れた補正法を開発し,散乱体の向こうで集光する3次元集光技術について検討する。また,散乱光イメージングの対象物として様々な大きさの生体サンプルの改良につとめる。これらの研究を他の計画研究及び公募研究に展開し,共同研究を推進する。
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