| 研究実績の概要 |
本年度は、肝臓の門脈周囲マクロファージの統合的解析を行った。多くの臓器では血流は動脈から毛細血管を通り静脈に還流するが、肝臓では門脈を介して腸管から直接血流を受けるという特異性がある。腸管からは栄養素に加え、細菌やその断片などの催炎症物質が大量に流入するため、炎症制御機構の存在が示唆されていたが、その実態は不明だった。申請者は生体イメージング技術を用いて、レーザー焼却により局所炎症を定量評価する系を確立し、門脈周囲では中心静脈周囲に比べて炎症応答が有意に抑制されていることを発見した。さらに、門脈周囲にのみ存在する抗炎症性マクロファージを同定し、これはクッパ―細胞が腸内細菌や代謝物に応答して局所適応したものであることを明らかにした。特にオドリバクターなど特定の腸内細菌がこの誘導に重要であることも示された。加えて、これらのマクロファージ機能を阻害すると、NASH/MASHやPSCの発症が促進されることから、肝臓マクロファージの「適応能」が臓器のレジリエンス機能に寄与していると示された(Miyamoto et al., Nature 2024)。さらに本研究では、門脈周囲の交感神経関連マクロファージ(hpNAM)についても解析し、シングルセルトランスクリプトームにより特異的マーカーの探索、リポーターを用いた神経との関連イメージング、交感神経の光操作によるhpNAMの分化・機能変化の解析を行った。現在、これらの成果を論文化に向けて整理中である。
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