• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実績報告書

エクソソームを介した脳-臓器コミュニケーション

計画研究

研究領域グリアデコーディング:脳-身体連関を規定するグリア情報の読み出しと理解
研究課題/領域番号 20H05904
研究機関東京工業大学

研究代表者

星野 歩子  東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (00819964)

研究期間 (年度) 2020-11-19 – 2025-03-31
キーワードエクソソーム
研究実績の概要

本計画研究はエクソソームを媒体とした脳-身体コミュニケーションに着目し、グリアエクソソームによる体内環境情報の読み出しおよび脳内エクソソームによる臓器への影響について解析しグリアが司る体内制御デコーディングを明らかにする役割を担う。エクソソームは全ての細胞から産生される30-150nmの微小胞であり、もともと細胞のゴミ処理機構と考えられて来たが、新たな細胞間コミュニケーションツールとしての重要な機能が注目されている。

本研究提案では、脳による複合的生体制御をテーマとし、脳とその他の臓器を繋ぐ細胞外微粒子に着目した検討を行う。未知の脳―身体連関の制御シグナルの解明を目指すため、脳・肺・肝臓・脾臓・腎臓・骨髄(免疫細胞)・腸から組織由来の細胞外微粒子を回収し、微粒子のサイズ、産生量、タンパク含有量並びにプロテオミクス解析により含有タンパク質の種類を同定する。さらに、国内1台目となる微粒子タンパク質解析機器ExoViewを用いて各臓器並びに脳内細胞由来エクソソームの性質を明らかにする。

本年においては、様々な臓器から産生されるエクソソームの産生量の違い、そのサイズの違い、そしてタンパク含有量などについて検討を行った。さらに、そのエクソソームが体内でどの様な挙動を示すかについても事前データを得ることができた。その結果、正常の状態では、臓器別にエクソソームの産生量が大きく異なることがわかり、タンパク質量についても差があることがわかった。また、特定の臓器由来のエクソソームにはある程度特異的な臓器分布があることも見えてきた。さらに、特定の疾患モデルにおける変化についても検討をはじめられ、エクソソームによる臓器連関の破綻との関係についても事前データが得られてきている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究目的の一つである、臓器連関とエクソソームについて紐解くため、健常のマウスの各種臓器からエクソソームを単離しその特徴について明らかにしてきている。また、疾患マウスモデルにおけるエクソソームの単離も既に行っており、その違いについて次年度以降解析を進めていける状態が作られている。
さらに、当初エクソソームのタンパク質についての検討のみを行う予定であったが、それについて別の解析手法も取り入れられる状況ができつつあり、その点において当初の計画以上に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

各種臓器から単離されたエクソソームをマウスへ投与し、どの臓器との連関が正常時で起きるのか、また疾患においてそれはどの様に破綻するのかについて検討を続ける。さらに、脳のグリア細胞に特定の臓器由来エクソソームを投与するとどの様な変化が見られるのかについて検討を進める。
疾患マウスモデルにおいては、脳由来エクソソームについての知見を広げていき、バイオマーカーおよび疾患の機能分子としての可能性について解析を進める。
プロテオミクス解析の結果を用いて機械学習を行う。また、共同研究者との連携により、どの臓器由来のエクソソームが血漿中に多く、それがどの様に疾患と健常で異なるのかについても明らかにしていく。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 12件、 招待講演 15件) 図書 (3件)

  • [国際共同研究] Rockefeller University/University of Illinois(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Rockefeller University/University of Illinois
  • [雑誌論文] Impact of exosome-mediated feto-maternal interactions on pregnancy maintenance and development of obstetric complications2021

    • 著者名/発表者名
      Hashimoto A, Sugiura K, Hoshino A
    • 雑誌名

      The Journal of Biochemistry

      巻: 169 ページ: 163-171

    • DOI

      10.1093/jb/mvaa137

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] エクソソーム含有タンパク質が司る臓器特異的転移と診断バイオマーカー2022

    • 著者名/発表者名
      星野歩子
    • 学会等名
      第9回日本腎臓研究会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Exosomal proteins in disease etiology and detection ~Exosomes, new players in the field of metastasis~2022

    • 著者名/発表者名
      星野歩子
    • 学会等名
      2022 CiRA Symposium, Advancing iPS Cells Through Collaboration
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] エクソソームを介した臓器連関:がん転移機構と診断バイオマーカー2022

    • 著者名/発表者名
      星野歩子
    • 学会等名
      第127回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Exosomes, new players in the field of metastasis2022

    • 著者名/発表者名
      星野歩子
    • 学会等名
      熊本大学
    • 招待講演
  • [学会発表] がんの転移先を決めるナノサイズメッセンジャー#エクソソーム#人体のSNS2022

    • 著者名/発表者名
      星野歩子
    • 学会等名
      文部科学省主催「サイエンス・カンファレンス」
    • 招待講演
  • [学会発表] Cancer exosomal proteins: Roles in pre-metastatic niche formation and biomarker potential2021

    • 著者名/発表者名
      星野歩子
    • 学会等名
      日本プロテオーム学会招待講演
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] エクソソームによる病態寄与機構と疾患バイオマーカーの解析2021

    • 著者名/発表者名
      星野歩子
    • 学会等名
      第7回生体調節研究所・内分泌代謝シンポジウム
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] がんにおけるエクソソーム含有タンパク質: 転移寄与分子と診断バイオマーカーの解析2021

    • 著者名/発表者名
      星野歩子
    • 学会等名
      第三回 形態解析ワークショップ
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 細胞が発するメッセージを読み解く未来 【人体のSNS #エクソソーム】2021

    • 著者名/発表者名
      星野歩子
    • 学会等名
      フロンティアサロン永瀬賞授賞式・特別講義サイエンスセミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] エクソソーム含有タンパク質による がん診断と転移促進機構2021

    • 著者名/発表者名
      星野歩子
    • 学会等名
      EXPERT MEETING in Metastasis Research
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 腫瘍関連エクソソームのプロテオミクスから解析する転移機構と診断バイオマーカー2021

    • 著者名/発表者名
      星野歩子
    • 学会等名
      第74回日本自律神経学会総会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 妊娠高血圧症候群の病態における胎盤由来エクソソームの役割と血漿由来エク ソソームのサブポピュレーションの解析2021

    • 著者名/発表者名
      橋本 彩子、志村 日向子、星野 歩子
    • 学会等名
      第94回日本生化学会大会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] がん関連エクソソームのプロテオミクス:転移機構とバイオマーカーの解析2021

    • 著者名/発表者名
      星野歩子
    • 学会等名
      第44回 日本分子生物学会年会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 細胞が発するメッセージを読み解く未来 【エクソソームが司る、がん転移の新しいストーリー】2021

    • 著者名/発表者名
      星野歩子
    • 学会等名
      シスメックス イノベーションフォーラム2021
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Exosomal proteins in disease etiology and detection2021

    • 著者名/発表者名
      星野歩子
    • 学会等名
      京都大学医学研究科ヒト・システム生物学セミナー講演
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 実験医学増刊 Vol.39 No.12 がん微小環境に1細胞レベルで挑む2021

    • 著者名/発表者名
      橋本彩子,濵﨑祐斗,星野歩子
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      羊土社
    • ISBN
      978-4-7581-0396-1
  • [図書] BRAIN and NERVE Vol.73 No.8 2021年 08月号特集 脳腸相関 脳-身体の双方向性制御2021

    • 著者名/発表者名
      杉浦圭,志村日向子,星野歩子
    • 総ページ数
      8
    • 出版者
      医学書院
  • [図書] 実験医学増刊 Vol.39 No.20 EVs 細胞外小胞の生物学2021

    • 著者名/発表者名
      橋本彩子,佐藤美香,星野歩子
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      羊土社

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi