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2022 年度 実績報告書

複合的な不均一環境における根粒共生を介した窒素栄養獲得の統御機構

計画研究

研究領域不均一環境変動に対する植物のレジリエンスを支える多層的情報統御の分子機構
研究課題/領域番号 20H05908
研究機関筑波大学

研究代表者

壽崎 拓哉  筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40575825)

研究期間 (年度) 2020-11-19 – 2025-03-31
キーワード環境適応 / 窒素応答 / 根粒共生
研究実績の概要

前年度から引き続いて、ミヤコグサにおける地上部と根の器官間コミュニケーションに関わるIRON MAN (IMA)ペプチドファミリーの解析を進めた。Ljima1 Ljima2二重変異体では根粒の数が増加する一方で、個々の根粒の質が低下するため正常な根粒共生が起こらない。IMAペプチドの機能と機能欠損の表現型の因果関係を栄養素の側面から理解するために、領域内連携研究によってイオノーム解析を実施した。その結果、野生型植物では根粒菌感染によって根に鉄が蓄積するのに対し、Ljima1 Ljima2二重変異体ではそれが起こらないことが判明した。その一方で、LjIMA1およびLjIMA2を過剰発現させた根ではコントロール条件よりも鉄が高蓄積していた。次に、Perls染色によって鉄の空間的な分布パターンを調べたところ、Ljima1 Ljima2二重変異体では野生型植物よりも根粒内部における鉄の蓄積が顕著に減少していることが分かった。さらに、トランスクリプトーム解析によって、鉄の吸収や転流に関わる遺伝子の発現がLjIMA1/LjIMA2依存的に制御されることも分かった。これらの結果は、このペプチドを介した根粒への鉄の蓄積が根粒共生の成立に必要であることを示唆している。根粒共生以外の表現型として、Ljima1 Ljima2二重変異体に硝酸を与えると野生型植物と異なり成育に悪影響が及ぶことが分かった。この原因となる可能性としてLjima1 Ljima2二重変異体では野生型よりも硝酸イオンが高蓄積することが判明した。これらの結果は、Ljima1 Ljima2二重変異体では窒素同化のプロセスが異常になっていることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究プロジェクトにおける複数の研究項目について順調に成果をあげており、論文発表や学会発表を行うことができたため。

今後の研究の推進方策

各研究項目について、成果が得られているものについては論文化に向けて研究を加速させる。比較的遅れているものについては理由を分析し、改善に向けて対応する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Root nodule organogenesis: a unique lateral organogenesis in legumes2023

    • 著者名/発表者名
      Suzaki Takuya
    • 雑誌名

      Breeding Science

      巻: 73 ページ: 70~75

    • DOI

      10.1270/jsbbs.22067

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Lotus japonicus NLP1 and NLP4 transcription factors have different roles in the regulation of nitrate transporter family gene expression2022

    • 著者名/発表者名
      Nishida Hanna、Suzaki Takuya
    • 雑誌名

      Genes & Genetic Systems

      巻: 97 ページ: 257~260

    • DOI

      10.1266/ggs.22-00104

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Adaptive mechanisms of leguminous plants to nitrogen environment2023

    • 著者名/発表者名
      Suzaki Takuya
    • 学会等名
      38th IPSR International Symposium
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 根粒形成の鍵転写因子NINの機能未知領域に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      野田 桃菜; 西田 帆那; 伊藤 百代; 壽崎 拓哉
    • 学会等名
      第64回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] 根粒形成を促進する鍵転写因子のDNA結合特性に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      野崎 翔平; 野田 桃菜; 三浦 謙治; 壽崎 拓哉
    • 学会等名
      第64回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] 硝酸態窒素による根粒形成制御に関わる自然変異の同定2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤 百代; 番場 大; 陳 漢謀; 野崎 翔平; 田島 由理; 三浦 謙治; 佐藤 修正; 壽崎 拓哉
    • 学会等名
      第64回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] 窒素栄養に応じた全身的・根局所的な根粒形成制御2022

    • 著者名/発表者名
      壽崎 拓哉
    • 学会等名
      日本植物学会第 86 回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 硝酸態窒素による根粒の早期老化における LjNLP4/1 の働き2022

    • 著者名/発表者名
      藤戸冴佳; 伊藤百代; 壽崎 拓哉
    • 学会等名
      植物の栄養研究会第 7 回交流会
  • [学会発表] 根粒形成開始マスターレギュレーターNIN 転写因子の根粒成熟過程における機能2022

    • 著者名/発表者名
      野田桃菜; 西田帆那; 伊藤百代; 壽崎 拓哉
    • 学会等名
      植物の栄養研究会第 7 回交流会
  • [学会発表] 硝酸態窒素に応じた根粒共生制御の分子機構2022

    • 著者名/発表者名
      壽崎 拓哉
    • 学会等名
      植物の栄養研究会第 7 回交流会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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