研究領域 | 不均一環境変動に対する植物のレジリエンスを支える多層的情報統御の分子機構 |
研究課題/領域番号 |
20H05909
|
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
吉田 聡子 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20450421)
|
研究分担者 |
白須 賢 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, グループディレクター (20425630)
|
研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
|
キーワード | 寄生植物 / 窒素 / 土壌栄養 / 吸器 |
研究実績の概要 |
2020年度は、栄養条件化に置かれた植物における栄養シグナルと宿主シグナルの関係性を明らかにした。前年度までの結果で、窒素や鉄栄養が吸器の誘導を抑制することがわかっていた。そこで、土壌栄養条件に吸器誘導物質の有無条件を掛け合わせた際の植物のレスポンスをRNAseq解析によって明らかにした。その結果、鉄は吸器誘導の初期遺伝子の発現を抑えるが、窒素は比較的遅い段階で発現する遺伝子を抑制することがわかった。また、TSS-seqをおこない、転写開始点制御が変動する遺伝子を調べた。転写開始点が変化する遺伝子は5000遺伝子ほどあることがわかったが、これらの遺伝子はRNAseqで発現変動する遺伝子とは共通していないことも示された。 また、一つの植物体の根を2つに分け、異なる環境に晒すスプリッ トルート法を用いて、不均一条件における栄養シグナルと宿主シグナルの長距離伝達について解析を行なった。本年度はコシオガマにおけるスプリットルート法の手法を確立した。根の先端を切り、保湿することによって左右均等に新たな根を誘導させ、根の成長の差を考慮せずに比較ができる系を確立した。 また、DMBQ処理時の二次シグナルとして働くペプチド様吸器誘導物質の同定を進めた。植物体のDMBQ培養液をHPLCで分画し、それぞれの画分をストライガに処理することにより、バイオアッセイをおこない、精製を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、RNAseq解析により変動する遺伝子を抽出し、その解析を進めている。また、スプリットルート法をコシオガマに適用することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
RNAseq解析の結果から得られたターゲット遺伝子の機能解析を行う。また、TSS-seqを新たに開発された方法でやり直し、再現性を確認する。スプリットルート法を実際に栄養環境、宿主環境の試験に供し、長距離シグナルの有無を確認する。また、長距離シグナルの候補となるペプチドについてゲノム中のアノテーションを進める。
|