研究領域 | 脳の若返りによる生涯可塑性誘導ーiPlasticityー臨界期機構の解明と操作 |
研究課題/領域番号 |
20H05920
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
ヘンシュ 貴雄 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任教授 (60300878)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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キーワード | 臨界期 / 注意 / マウス |
研究実績の概要 |
生後初期には脳のさまざまな機能が発達する臨界期が存在することが知られている。これまでは視覚や聴覚など比較的単純な機能の臨界期メカニズムが研究対象とされてきた。一方、認知や注意などの高次機能の発達にも同様に生後初期の臨界期の存在が示唆されているものの、その詳細は明らかになっていない。また、臨界期はその終了後においても、特定の神経回路の操作により再開することが可能である場合がある。この操作は主に分子的・薬理的手法により行われてきたが、近年我々は、これが行動的な過程により可能であることを示唆する結果を得ている。特に、特定のモダリティに対する注意がその対象で起こる可塑性を促進し、臨界期を再開できる可能性がある。 本研究では注意機能がどのような臨界期メカニズムにより影響を受けるか、また注意機能が臨界期の決定・再開にどのような影響を及ぼすかという双方向のインタラクションを解明することを目的とする。これまでは主に、注意機能の発達に影響を及ぼす臨界期の同定、および臨界期での外的刺激が注意機能を形成する分子メカニズムについて調べてきた。マウスにおいて、生後1週間の時期における外的ストレスが成体での注意機能を阻害することがわかり、注意発達の臨界期が生後初期に存在することがわかった。また、この注意発達への影響は前帯状皮質のドーパミン受容体の発現量変化や、睡眠の制御とも密接な関わりがあることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
注意機能の発達に影響する臨界期メカニズムが、分子レベルで初めて明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、注意機能と臨界期可塑性の相互作用を多角的に解析する。特に、注意が臨界期の神経回路再編を促進させるという仮説を検証する。
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