研究実績の概要 |
令和2-3年度は、実験プロトコルと解析パイプラインの確定を目標として研究活動を推進した。 具体的にはまず、近隣大学に設置されている3テスラMRI施設を実験実施場所として研究計画を起草して学内生命倫理委員会に提出し、承認を得た。安全委員会からも実施許諾を得た。 次に、手指運動想起課題中の脳状態を頭皮脳波から同定し、一側半球体性感覚運動野の興奮性上昇にともなって電動装具をアクチュエートするBMIをMRI前室に設置するための各種手続きを完了させ、装置設置を完了した。また、健常成人28名を被験者として、1回60分の操作訓練を実施し、脳波へのノイズ重畳性を検証。ノイズ低減のための装置改修とプログラムの修正を経て、ヒストリカルデータと同等の信号品質が取得できることを確認した。 次に、BMI前後で計測するrsfcMRIのパラメータプロトコルの作成をおこなった。TR 3,000ミリ秒にて安静開眼10分間のrsfcMRIを計測し、全脳ダイナミクスを取得することを想定し、各種ノイズ除去パイプラインを調整し(MP-PCA denoising, degibbs, splice timing correction, motion correction, spatial normalization/smoothing, nuisance signal regression, motion censoring)、脳領域間の相関マップやそのほか構造変化を捉えるための分析基盤の整備と表示のためのダッシュボード整備を実施した。また、神経回路の電気生理学的興奮性を確認するために、MRIナビゲート下で経頭蓋磁気刺激を適用し、誘発筋電図上の変化を取得する系の構築を実施し、慶應義塾大学理工学部に整備した。以上の検討を通じて、脳回路操作が可能となるBMI実験プロトコルと解析パイプラインの令和2年度版ドラフトを完成させた。
|