研究領域 | マルチファセット・プロテインズ:拡大し変容するタンパク質の世界 |
研究課題/領域番号 |
20H05928
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松本 有樹修 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (60741519)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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キーワード | Long non-coding RNA / ポリペプチド |
研究実績の概要 |
Long non-coding RNA(lncRNA)の定義は「タンパク質をコードしない200塩基以上のRNA」とされているが、われわれはこれまでにlncRNAに存在する小さなORFから翻訳される新規タンパク質を同定し、それらが重要な機能を持つことを明らかにした [Matsumoto et al., Nature 541: 228-232 (2017)]。すなわち、これらlncRNAは「ノンコーディング」ではなく、「コーディング」RNAであり、存在すらしないと思われていた未開拓のタンパク質を翻訳している。lncRNAは進化に伴い数が増加し、組織特異的に発現するlncRNAはその数が進化と共に飛躍的に増加することが知られている。さらにlncRNAは、組織特異的(脳や精巣、血球系、肝臓など)に発現しているlncRNAが多い。すなわち、lncRNAと思われていたRNAから翻訳されるタンパク質も同様に、組織特異的に発現し、進化と共にその数が増加していくと考えられる。 そこで本年度は、網羅的に新規タンパク質の同定を行うために、ヒトの様々な組織に由来する培養細胞株や、マウスの組織などを用いた、lncRNA由来新規タンパク質のスクリーニングを行った。PhyloCSF(DNAレベル)を用いて、進化的ORFの保存性をベースとして新規ポリペプチドの候補をリストアップした、さらに、培養細胞やマウス組織を用いてRibo-seq(RNAレベル)解析を行い、よりアンバイアスなスクリーニングを行い、さらに多くの興味深い新規ポリペプチドのリストを構築することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、PhyloCSFとRibo-seq解析を行い、多くの興味深い新規ポリペプチドのリストを構築することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
PhyloCSFとRibo-seq解析により、いくつか新規ポリペプチド候補を得ることができた。そこで次に、これらポリペプチドが翻訳されているのか、もしくはどのような生理機能を持つのかということを検討するために、タグノックインマウスや、ノックアウトマウスの作製を行っていく。
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