計画研究
近年、従来のタンパク質の概念を覆す、細胞内でのタンパク質の特殊な存在様式や機能発現様式が注目されている。このような背景の下、タンパク質の機能を正しく理解するためには、単に細胞から単離して精微に解析するだけでなく、細胞環境をin vitroで再現する新規手法の開発が必要不可欠となる。本研究では、独自のマイクロチップ技術と様々な異分野技術との融合を通じて、細胞機能の再構築技術を確立するとともに、レパートリーが増えつつある種々の新規タンパク質の1分子機能計測技術を世界に先駆けて実現することを目的としている。本年度は、近年基礎/応用研究の両面で汎用される核酸編集/検出酵素であるCRISPR-Cas13aの新規1分子計測技術の開発し、LbuCas13a、LwaCas13a、およびLtrCas13aなどの各種orthologにおける酵素活性パラメーターを定量することに成功した。そして、これまで汎用されてこなかったLtrCas13aの活性が最も高く、核酸検出酵素として最適であることが判明した(Commun Biol 2022)。また、自動分注ロボットと蛍光顕微鏡を連動させた新システムを開発することで、サンプル調製から1分子計測に至る全プロセスの自動化にも成功した。この技術基盤は、未開拓タンパク質の網羅的な1分子機能解析を行う上で必要不可欠であり、本研究計画を遂行するうえで、最適な技術基盤が確立しつつあると言える。
2: おおむね順調に進展している
当初の目標であった、1)新規酵素の1分子計測技術の開発、2)網羅的な1分子計測技術の実現の両方を達成することができたため、本年度の研究はおおむね順調に進展したと考えている。
引き続き、マイクロチップを用いた1分子計測技術の高度化を目指すとともに、計測対象のバリエーションを増やしていきたいと考えている。また、細胞環境の再構築技術も併せて開発を行いたいと考えている。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件、 招待講演 13件)
Communications Biology
巻: N/D ページ: N/D
10.1038/s42003-021-02001-8