研究領域 | マルチファセット・プロテインズ:拡大し変容するタンパク質の世界 |
研究課題/領域番号 |
20H05932
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
太田 元規 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (40290895)
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研究分担者 |
福地 佐斗志 前橋工科大学, 工学部, 教授 (70360336)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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キーワード | 天然変性タンパク質 / ノンコーディングRNA / データベース |
研究実績の概要 |
教科書的な翻訳ルールに従って生合成され,自発的に固い構造に折りたたまるという古典的描像の埒外にあるタンパク質が近年存在感を増している.ノンコーディングRNAや非典型的な翻訳機構に由来するタンパク質を対象とした予備的な解析では,それらの多くは比較的短い天然変性タンパク質であった.反復配列,低複雑性配列を含む天然変性タンパク質が翻訳後修飾などを契機として液-液相分離を引き起こして液滴を形成し,機能することも話題となっている.つまり本領域で研究対象とする未開拓タンパク質の多くは,天然変性タンパク質だと考えられる.その構造・機能を理解するためには,対象となるデータを集めて編集し,情報解析する必要がある.私達はこれまでに天然変性タンパク質データベース:IDEALを構築・運用し,世界標準データベースに育て上げた実績がある.本研究ではUniProt(タンパク質の配列と機能のデータベース)に登録されている未開拓タンパク質については,液滴形成や翻訳後修飾との関連などがわかるよう機能アノテーションを強化し,既存IDEAL を拡張する.ノンコーディングRNA や非典型的翻訳機構に由来するUniProt未登録の未開拓タンパク質は,それらを論文などから収集し,構造予測などの解析を加えて新規データベースを構築する.両データベースともデータはXMLなどのタグが入ったフォーマットで編集し,公開する.収集したデータについて統計解析を実施する.これらの活動を通して,情報解析による未開拓タンパク質の特徴抽出と予測法の確立を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
採択時期が11月末であったため,実質的な活動期間は4ヶ月であった.計算サーバの調達は機材の納期が年度末に間に合わない可能生があると業者から連絡があったため,次年度に行うことにした.主に翻訳後修飾に伴う天然変性タンパク質の相互作用の変化を図示するためのシステムの設計に費やした.4ヶ月の活動期間を考えると順当であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
年度始めより,実践的なプロジェクトチームを構築し,IDEALの拡張と新規データベースの構築に努める.1.新規アノテータの確保と教育:新たに生物学的知識が豊富なアノテータを雇用し(役務),教育期間を経て自立させる.2.計算サーバを設置し,未開拓タンパク質について,ホモロジーサーチ,天然変性領域予測,立体構造予測などのパイプラインを構築する.研究活動の担い手となる博士研究員を雇用し,構造予測の結果などを解析し未開拓タンパク質の傾向を調査する.未開拓タンパク質のデータベース構築のため,システムエンジニアと契約し(役務),論文から集めたデータを事例にしてひな形(関係性データベース)を作成する.3.翻訳後修飾に伴う天然変性タンパク質の相互作用の変化をデータ化,グラフ化(遷移図)するためのシステム構築を行う.具体的にはシステムエンジニアと契約し(役務),アノテータが作業をしやすいような遷移図編集エディタを開発する.いくつかの事例について入力し,機能をリファインする.
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