研究領域 | 実世界の奥深い質感情報の分析と生成 |
研究課題/領域番号 |
20H05954
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研究機関 | 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 |
研究代表者 |
神谷 之康 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究室長 (50418513)
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研究分担者 |
土橋 宜典 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (00295841)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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キーワード | 認知計算神経科学 / コンピューターグラフィックス / 脳情報デコーディング |
研究実績の概要 |
本課題では、ニューラルネットワークモデルと機能的磁気共鳴画像(functional MRI, fMRI)で計測されるヒト脳活動を対応付けることを通して、物体の形状・実在感やオフラインでのシミュレーションを可能にする外界・身体モデルの脳内表現の解明を目指している。 2020年度において、これらの目標を実現するために、まず感情の脳内情報表現に関する研究で開発した解析ツールを体系的に整理し、研究グループ内で共有することに取り組んだ。この研究は、デコーディング・エンコーディング・教師なしクラスタリングを用いることで、感情が多次元のカテゴリーで記述可能で、脳内ではtranmodal 領域における広域な分散表現を持つことを明らかにしたもので、本提案の着想の元となっており、脳内情報表現の理解に大きく寄与している。また、この研究を通じて得られた知見は、今後の研究においても有益な情報を提供することが期待される。 さらに、コンピュータグラフィックスとコンピュータビジョンの融合領域において研究されてきた2次元画像から3次元空間の推定を行うモデルについて、文献調査を行い、関連研究の知識を広げた。また、適切なモデルを実装することにも着手し、技術的な基盤を整えた。 その上で、既存の実験データを用いて、脳情報デコーディング精度を高めるための信号処理・機械学習手法の改良に取り組んだ。脳から予測されるデコード特徴の統計的分布を網羅的に調査することにより、最適な特徴量のスケーリング則を導出した。これにより、より正確な脳活動の解析が可能となり、本課題の目的である脳内表現の解明に近づくことができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は全体として順調に進行した。当初、2020年度に購入予定であった映像刺激提示ツールについては、新型コロナウイルスの感染拡大およびウクライナ情勢に伴う半導体等の物資不足と流通の遅れにより、生産遅延が続く結果となった。このため、繰越最終年度である2022年度においても製造業者の生産ラインが整わず、購入を断念せざるを得なかった。そこで、日本学術振興会の了承を得て、研究実施上不可欠であるファイルサーバの購入へと方針を転換し、年度内に納品を完了した。映像刺激提示ツールについては、既存の代替品を使用し、それに合わせた実験デザインを策定した。性能は劣るものの、研究仮説の検証には十分なデータが得られている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に従って研究を進める予定である。研究代表者神谷と分担者土橋との連携をより一層強化する。具体的には、Slack等を用いた非同期の情報共有や定期的なミーティングを実施し、互いの進捗状況や課題について共有し合う。
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