研究領域 | 実世界の奥深い質感情報の分析と生成 |
研究課題/領域番号 |
20H05955
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
南本 敬史 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究部, 上席研究員 (50506813)
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研究分担者 |
小松 英彦 玉川大学, 脳科学研究所, 研究員 (00153669)
網田 英敏 京都大学, 霊長類研究所, 特定助教 (80845321)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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キーワード | 質感 / 価値 / 好み / サル / 神経活動操作技術 |
研究実績の概要 |
(1)価値システムと高次感覚野との相互作用による質感-価値変換の並列処理機構の解明について、マカクザルを対象として生物学的価値システムの一つである前頭眼窩野と吻内側尾状核の経路を化学遺伝学的に抑制することで意欲制御の障害を特定し、この経路が内的欲求の変化に伴う価値判断に必須であることを明らかにした。さらに、領域内のCV、VR分野の研究者と連携して、サルを対象とした双方向性没入型視覚提示システム(サルVRシステム)の開発をすすめ、報酬に依存しない脳内価値情報と質感との関連について探索できる可能性を見出した。またサルの下側頭皮質と第一次視覚野からニューロン活動を記録し、透明感を含む質感の表現および物体形成過程との関係を解析した。また大規模言語モデルAIとヒト間で色表現の類似性を調べ、心理実験への応用可能性を探った。(2)価値システム間をつなぐ神経ネットワークとモノアミン系の作動による価値統合・変調処理の解明については、セロトニン神経特異的に正中縫線核、背側縫線核のそれぞれに抑制性DREADDを導入した4頭のサルに視覚刺激に基づく価値判断課題を実施し、2つの起始核からのセロトニン神経伝達を抑制操作することで全く異なる行動変容が生まれることが明らかとなった。ファイバーフォトメトリー法を用いた蛍光ドーパミンイメージングにより2頭のサルからドーパミン放出動態を計測した。ドーパミン入力を受ける線条体部位によってドーパミンの応答は異なっており、その応答の違いは線条体部位の機能差を反映している可能性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規開発技術が期待どおりに作動しており、研究が進展している。特に領域内のCV、VR分野の研究者と連携して取り組んだサルVRシステム開発が進展することで、質感と「報酬」という枠にとらわれない価値との脳内変換機構について調べる方策の目処がたった。
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今後の研究の推進方策 |
開発したサルVRシステムの精度を高め、環境との相互作用において「価値がどのように脳内に表現されるか?」という観点から行動や表情などからの推定と、脳内情報解読・操作を組み合わせてアプローチする。
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