研究領域 | 実世界の奥深い質感情報の分析と生成 |
研究課題/領域番号 |
20H05956
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 匡子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20271934)
|
研究分担者 |
中内 茂樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00252320)
|
研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
|
キーワード | 深奥質感 / 認知症 / 視覚性認知 / 瞳孔反応 |
研究実績の概要 |
瞳孔径の調整には種々の神経伝達物質が関わり、認知的な負荷で変化することが知られている。Glare錯視は光量の変化なしに縮瞳を生じうる刺激で、認知面を含む瞳孔変化を誘発する刺激として使われている。我々はこの刺激の質感特性の変化により瞳孔反応がどう変化するかを計測することにより、意識されない質感である深奥質感の認知機能を探ることを目的としている。 今年度は昨年度までに確立した瞳孔径測定装置を用いて、東北大学および豊橋技術科学大学において、Glare錯視による瞳孔径変化に関するデータの収集を継続した。東北大学では各種認知症性疾患の患者、豊橋技術科学大学では若年および高齢健常者を対象とした。測定精度を両施設間で一致させるために、現地ならびにオンラインで打ち合わせを重ね、2つの大学で同じ測定環境・技術で計測ができるように常に細心の注意を払って測定を実施した。 これまでの中間解析の結果、健常者の中でも加齢による変化がみられ、65歳以上の高齢群と若年群では、各条件において瞳孔反応に差があることが明らかとなった。高齢群では明らかな眼科的疾患のある対象は除外したものの、視機能の詳細な検討や認知機能の検討を行い、それらを考慮した解析が必要であると考えられた。さらに、認知症患者においては、背景となる疾患により、瞳孔反応に差があることが分かり、個人差も大きいことが示された。認知症患者においては、比較的低次の視覚機能、高次視知覚機能、注意機能など交絡因子が多く、これらを考慮してさらに検討を進める必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染の流行により、研究に参加する対象者のリクルートが計画通りには進まなかった。健常者については、十分な感染対策を行い、感染が比較的落ち着いた時期に測定を行うなど工夫をして進めてきた。また、東北大学病院でもCOVID-19の影響で患者受け入れがある程度制限されたことなどにより、予定数には達していないが、着実に研究は進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
COVID-19に関する自治体からの制限が解除されている状態ではあるが、感染予防には十分に配慮しながら研究を継続する。 健常高齢者においては、瞳孔反応測定に加え、認知機能検査も行い、両者の関係や深奥質感認知に与える影響を検討する。 認知症患者においては、瞳孔反応測定、認知機能検査に加えて、神経放射線学的検査を行い、瞳孔反応の偏倚に対応する脳の変化を探る。 健常高齢者と認知症患者の瞳孔反応の違いを検討し、各認知症性疾患における深奥質感認知の変化を解析し、その神経基盤を明らかにしていく。
|