研究領域 | 社会変革の源泉となる革新的アルゴリズム基盤の創出と体系化 |
研究課題/領域番号 |
20H05966
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山下 茂 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (30362833)
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研究分担者 |
山本 直樹 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40513289)
ルガル フランソワ 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (50584299)
森 立平 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (60732857)
谷 誠一郎 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, メディア情報研究部, 主任研究員 (70396183)
西村 治道 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (70433323)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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キーワード | 量子計算 / 計算理論 / 実践的利用 / 量子計算と古典計算の協調利用 |
研究実績の概要 |
万能量子計算モデルに関する研究として, SWAPテストの,量子分散計算における検証に応用可能な良い性質を見つけ,その性質を利用して,一方向量子通信計算量プロトコルから 量子分散計算における検証プロトコルへ変換するための汎用的手法を開発した.その汎用的手法をデータの等価性判定問題に適用することによって,等価性判定問題に対する量子分散検証プロトコルを構成し,古典分散検証プロトコルより指数的に短い証拠の長さで同問題を検証できることを明らかにした.別の研究として,QRAMと呼ばれる量子メモリを必要とするグラフの彩色数を計算する O(1.914^n) 時間の量子アルゴリズムを示した. 能力が限定された量子計算モデルに関する研究に関して,量子対話系の計算モデルにおいて,より制限された量子計算では基底状態の生成が困難である証拠を得た.具体的には,成功確率が指数的に小さくても許される量子対話証明を用いて基底状態の生成を行う際に,数え上げ階層が崩壊しないという仮定のもとで,検証者が得る証明を古典状態に制限することはできないことを示した. 量子分散計算に関して,k-clique問題を解く高速な古典分散アルゴリズムの開発を行い,量子通信による更なら高速化の可能性について調査した.また,k-clique問題を解く実用的なアプローチを提案し,NISQデバイス上での実装を検討した. 量子回路設計に関して,任意の量子回路をlattice surgeryにマッピングする際に,latticeの回転操作を利用することで,論理量子ビットの充填率を.既存手法と比べて平均して45.9%削減できる手法を考案した. 誤り耐性がない量子計算機を利用するスキームとして,量子リザバー計算機による時系列データ処理法を考案した.IBMQをリザバー計算機として実現し,ベンチマーク問題において古典線形回帰よりも良い時系列分類が可能であることを実証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定している各研究項目でそれぞれ検討が順調に進んでいるため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き量子計算の各種のモデルにおける計算能力の解析を行う理論的なアプローチと、実際に量子計算機を利用する実践的なアプローチの両面から様々な項目の研究を進め,将来実現する量子計算機を有効に利用するための計算基盤の構築を目指す.そのために,①万能量子計算モデルに関する研究, ②能力が限定された量子計算モデルに関する研究,③測定ベース量子計算モデルに関する研究,④量子分散計算モデルに関する研究,⑤量子回路モデルに関する研究,⑥実践的な量子計算の利用に関する研究 などの項目に関して新たな知見を得る研究を推進する.
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