研究領域 | 量子サイバネティクス - 量子制御の融合的研究と量子計算への展開 |
研究課題/領域番号 |
21102003
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
都倉 康弘 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20393788)
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研究分担者 |
太田 剛 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主任研究員 (30463623)
樽茶 清悟 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (40302799)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 半導体物性 / 半導体超微細化 / ナノデバイス / 量子コンピュータ / 量子閉じ込め |
研究実績の概要 |
[制御1]スピン回転操作の高速化とゲート忠実度の改善を行い、全ての論理演算に使われるx、z軸周りの回転について世界最高値を達成した(x回転:127MHz、z回転:50MHz、忠実度>95%)。新型3重量子ドットを作製し、3量子ビットに必要となる(1,1,1)電子状態、スピンブロッケード状態を達成した。以上により3量子ビット誤り訂正実験の準備が整った。また表面コード対応の2次元的ドット配置のために必要な浮遊ゲートによる遠く離れたドット間結合技術を開発し、ゲートの狭窄2次元チャンネルを用いて結合を確認した。 [制御2]環境と結合した量子ビットが位相コヒーレンスを部分的に失う過程を一般的に調べ、特に電荷計による電荷測定の反作用を定量的に評価した。 [伝送1]量子ポイントコンタクトにおいて零磁場でスピン偏極した状態を作り出せる事を見いだした。 [伝送2]空乏化した結合細線中で表面弾性波によって動く量子ドット中の電荷のコヒーレンスが、少なくとも40%以上の確率で保たれることを確認した。干渉の可視度を50%以上にできればスピンのコヒーレンスも確実に証明できる。またスピン軌道相互作用による電子スピン制御と組み合わせることも考慮して、スピン一重項状態の2電子を別々の動く量子ドットへと分離して非局所量子もつれ状態を生成する実験に取りかかった。 [観測]半導体二重量子ドットの一電子において、印加パルス波形を変化させながら電荷コヒーレント振動の測定を行い、パルス波形を考慮した数値計算により解析した。エネルギー反交差を2回通過する領域において、Landau-Zener-Suckelberg量子干渉に起因する信号強度の増大が起こっている。パルス波形を意図的に変形させて干渉効果が大きくなる条件にすると、さらに信号強度が増大する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[制御1]①当初の計画以上に進展:世界最高速のスピン回転とゲート忠実度を達成し、同分野の研究レベルを大きく引き上げた。 [制御2]③やや遅れている:量子ドット中の位相コヒーレンスに関する知見が得られたが、核スピン制御に関しては進展が当初の予定より遅れている。 [伝送1]②おおむね順調に進展している:量子ポイントコンタクトという基本的な素子において電子スピン偏極が実現する事を確認できた事により、飛行量子ビットの研究を加速する可能性がある。 [伝送2]②おおむね順調に進展している:スピン一重項状態の2電子を1電子ずつ移送してスピンコヒーレンスを確認する実験が難航した一方で、干渉の可視度が上がって来た事によりスピンコヒーレンス確認の目処が立ってきた。 [観測]②おおむね順調に進展している:単一電荷状態の量子状態制御で理論的な結果を良い一致を見た上に、より信号強度を増大させる方法も見いだした。
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今後の研究の推進方策 |
[制御1]今後:得られた高速スピン回転、および3重量子ドットの電子状態制御を元に、当初の目標である3量子ビット化と誤り訂正(またはBell対検出)を試みる。 [制御2]東大のグループが強い量子ビットの制御パルスを実現可能として来た事から、従来の摂動論による理論的な枠組みを超えた解析方法が必要となって来る。より実験結果を定量的に議論する為に数値解析を含む方法を適用して行く。また3重量子ドットでのスピンの初期化の可能性を探って行く。 [伝送1]強磁場中のエッジ状態における量子コヒーレンス、およびグラフェンなどの様な高品質な伝送路を用いた飛行量子ビットの提案とその特徴を明らかにする。 [伝送2]移送される電子スピンのコヒーレンスを確認する実験と共に、非局所量子もつれ状態生成の実験を継続して行う。(また、電子の移送経路を制御することによってスピン軌道相互作用と組み合わせて電子スピンを制御する技術の開発を進めて行く。) [観測]3つのドットを含む素子を作製し、三重量子ドットの量子状態をLZS量子干渉を用いて制御する。数値計算を行い、より高精度な量子状態の制御のための検討を行う。
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