研究領域 | 量子サイバネティクス - 量子制御の融合的研究と量子計算への展開 |
研究課題/領域番号 |
21102006
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
占部 伸二 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20304040)
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キーワード | イオントラップ / 量子情報処理 / レーザー冷却 |
研究概要 |
本研究では平面型のプレーナーイオントラップの開発及び断熱的な手法を用いたイオンの量子状態制御の研究を進めている。平面型のプレーナーイオントラップの開発においては、昨年度、開発したパラメトリック共鳴を用いたイオンのマイクロ運動の補正方法をプレーナートラップに適用し、全方向のマイクロ運動を低減することができた。並行して大規模集積化のための多数のトラップ領域から成る電極を設計した。より小型で高い永年周波数が得られるように、イォンの捕獲される高さを200μmに設定し、電極配置の最適化を行った。このトラップでイオンの捕獲実験を行い、設計に近い特性でイオンの捕獲に成功した。また、トラップ間でのイオンの輸送実験を行い、多数個のイオン及び単一イオンの輸送に成功した。 断熱的な手法を用いたイオンの量子状態制御の研究においては、単一^<40>Ca^+イオンの電気四重極子遷移の一つの下準位と三つの上準位からなるtripod系における2つの暗状態を用い、STIRAP(Stimulated Raman Adiabatic Passage)により断熱的操作を行うことにより、イオン系では初めて幾何学的位相因子のみによる単一量子ビットゲート操作を実現した。Z,X回転において可視度0.9以上で占有数が変化することを確認した。また、断熱的手法による振動の個数状態の発生実験を実施した。さらに、RF遷移におけるドレスト状態とMolmer-Sorensen法によるエンタングリング相互作用を用いて、初めてRF遷移におけるエンタングル状態を直接生成することに成功した。さらにこのエンタングル状態が200ms以上の寿命を持ち、磁場揺らぎによる擾乱に対し耐性を備えた「デコヒーレンスフリー状態」であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに研究開発を進めている平面型イオントラップについて量子情報処理実験へ用いるめどが立ちつつあること、また断熱的な手法を用いた量子ゲート実験では、量子もつれ状態の発生実験が進み、新たな手法の開発や成果が得られてきていること。
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今後の研究の推進方策 |
平面型イオントラップの研究においては、イオンの輸送と組み合わせた量子ゲートや量子シミュレーションの実験に向けてのイオントラップの改良と実験を行う。断熱的な手法を用いた量子ゲート実験においては、イオンの個数を増加させ、多数個での実験を行う予定である。
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