研究概要 |
平成25年度は、「量子サイバネティクスの概念に基づく、光子を用いた量子制御テストベッドの構築」という研究目的の観点から、引き続き、「フィードバック制御を利用した量子状態の推定」、「量子フィードバックの実現に向けた光子量子回路の実現」、「異種量子間状態制御の実現に向けた、ナノフォトニクス技術を利用した光子と異種量子ビットを結合と制御」について研究を推進した。 まず「フィードバック制御を利用した量子状態の推定」に関しては、公募研究グループの大阪大学藤原彰夫教授と共同で、推定するパラメータ数を、実現した「1」から「3」に増やすことに成功した(物理学会2014春季大会)。これにより、任意の偏光状態の光子量子ビットの推定が可能になった。さらに、従来の量子トモグラフィーより高い効率で推定できることの検証にも成功した(論文準備中)。 次に「量子フィードバックの実現に向けた光子量子回路の実現」に関しては、量子フィードバックの比較部で用いる量子フレッドキンゲート操作の可能な、4光子を用いた光量子回路実現を目指した。平成25年度中に系の構築を完了し、基本となる0,1基底での動作確認に成功した。 最後に、「ナノフォトニクス技術を利用した光子と異種量子ビットを結合と制御」に関し平成24年度に我々が発見した、単一NV中心フォノンサイドバンドの抑制方法を発展させ、ファブリペロ型共振器を用いた高分解能フォトルミネッセンス測定装置により、ダイヤモンドナノ粒子中のNV中心から、1.2GHzという非常に狭い線幅のゼロフォノン線の発光の観測に成功した(Optics Express2013)。さらに、トラップされたイオンとナノ光ファイバの結合に向けて、計画班の占部グループと共同で、微粒子トラップを用いたナノファイバ表面電荷に関する知見を得た。
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