研究領域 | 医用画像に基づく計算解剖学の創成と診断・治療支援の高度化 |
研究課題/領域番号 |
21103004
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
藤田 廣志 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10124033)
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研究分担者 |
原 武史 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10283285)
周 向栄 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00359738)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 計算解剖学 / コンピュータ支援診断 / コンピュータ支援検出 / 医用画像情報処理 / 画像解析 |
研究実績の概要 |
計算解剖モデルの構築に関するコア研究として,人体の解剖学的構造の自動認識手順を構成するためのアプローチを,CT画像を対象として提案・開発し,これまでの開発手法の改良も行った.本アプローチは,一つの処理手順による異なった複数臓器領域を自動認識するという問題に応用できる.これにより,医用画像からの病変自動検出と診断支援処理に不可欠である「臓器の自動抽出」という難題を根本的に解決することを可能とする.具体的には,すべての臓器・組織の自動抽出を三つの処理モジュール「位置検出」,「アトラスの自動生成」,「臓器輪郭抽出」に当てはめ,各臓器の抽出に対して最適なパラメータを事前に用意したデータベースから学習させた.技術的には,機械学習による臓器の位置検出,類似症例検索によるアトラスの自動構築などの新しい方法を開発した.この提案手法を体幹部における10種類以上の臓器領域の抽出に適用して,大規模なCT画像データベースを用いた実験結果から,手順の有効性を確認した.よって,本研究の狙いである臓器の自動抽出問題を,本提案手法で原理的に解決できると考える.また,コンピュータ支援診断(CAD)システムの構築研究に関しては,PET画像,PET/CT画像,眼底画像,超音波画像,マンモグラフィ画像,歯科パノラマ写真等に対して,モデルベースの手法を取り入れたCAD開発を中心に研究を行い,一定の成果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではこれまでに1000例規模のCT画像に対して,10種類以上の臓器の位置検出,300例のCT画像に対して類似画像検索と臓器の輪郭抽出に関する実験を行った.そして,概ね90%以上のCT画像から,複数の臓器領域の自動抽出が成功していることを確認した.また,複数の臓器の空間的に位置関係のモデル化も進めた.よって,提案したアプローチは,体幹部CT画像からの臓器自動抽出に有効であると言える.さらに,各種の医用画像に対してモデルの考え方も取り入れたCAD構築に成功した.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通りに研究を進める予定である.本研究はデータベースに大きく依存するため,データベースの構築が予想以上に重要であることを分かってきた.解剖学のデータベースを構築するためには,一定の手作業が必要であり,これは避けられない課題である.今年度は,研究開発も含めて多人数による作業を効率的かつ円滑に行えるような環境作りを重視する.また,他の研究計画班ともより連携を強め,最終目標が達成できるように努力する.さらに,国内外の大会・研究会において,本研究における成果を,幅広くアピールする.
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