研究概要 |
研究目的である「医用画像の完全理解のための計算機解剖モデルの実現」に対して,平成25年度では,過去4年間の研究に引き続き,体幹部CT画像における解剖学的構造の自動認識手順の定式化(解剖モデル構築)をさらに推進した.これまでに提案・開発した「位置検出」,「アトラス自動生成」,「臓器輪郭抽出」から構成される汎用的臓器・組織の自動抽出処理の枠組みを維持しながら,各処理モジュールの性能を大幅に工夫・改善した. 具体的には,複数臓器の位置関係の利用とCrabcutアルゴリズムの拡張が挙げられる.その結果,提案手法は処理可能な対象臓器を18種類に増やし,体幹部における主な臓器・組織の認識と抽出が,すべてである一定レベルの精度で可能であることを確認した.また,従来利用した処理対象画像(高精細な体幹部CT画像)以外にも,低解像度のCT画像やPET/CT画像にも対応可能であることを実証し,これにより,提案モデルは様々なコンピュータ支援診断(CAD)システムの開発に応用できることが示唆された.よって,本研究の目的である解剖構造の自動理解を,提案した解剖モデルで一括で解決できると考える. また,各種のCADシステムの構築に関する研究では,PET/CT画像,MR画像,眼底画像,超音波画像,マンモグラフィ画像,歯科パノラマX線写真等を対象として,計算解剖モデルベースの手法を取り入れたCADシステムの開発を行い,多くの有用な成果を得た.
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